中東かわら版

№159 モロッコ:内閣改造(第2次ウスマーニー内閣)

 1月22日、ムハンマド6世国王は、以下のとおり5名の閣僚を新たに任命した。

 

国土計画・建設・住宅・都市政策相

アブドゥルアハド・ファーシー・フィフリー

進歩社会主義党(PPS)

国民教育・職業訓練・高等教育・科学研究相

サイード・アムザージー

ムハンマド5世大学学長

保健相

アナス・ドカーリー

PPS;国家雇用技術促進機構(anapec)会長

外相・国際協力相付きアフリカ協力特命担当大臣

ムフシン・ジャズーリー

コンサルティング会社社長

国民教育・職業訓練・高等教育・科学研究相付き書記・職業訓練担当

ムハンマド・ガッラース

青年・スポーツ省事務次官

 

評価

 2016年末から2017年中頃にかけて、ホセイマ市では国家の腐敗を批判する抗議デモが続いたが、ムハンマド6世国王はこれへの対処として2017年10月から12月にかけて、同市での開発事業の遅れに責任を負う現役大臣・前大臣を解任または戒告、住宅省・観光省・教育省・青年スポーツ省の高級官僚、県知事など100人以上を解任した。今回の内閣改造の主な目的は、2016年10月24日に更迭された国土計画・建設・住宅・都市政策相、国民教育・職業訓練・高等教育・科学研究相、保健相のポストを埋める措置である。加えて、政府が力を入れて進めるアフリカ諸国との経済・政治協力政策の一環として、アフリカ協力特命担当大臣が任命された。

 国王は、失業対策や開発といった国民の社会経済的な要求に政府が十分に対応していないと批判し、上記のような閣僚・公務員一斉解任という手段に出た。国王への支持が高いモロッコでは、このような国王の行動はホセイマ市住民の怒りや不満を一時的に収める役割を果たしたように思われる。今後は、中央省庁や地方政府が開発事業を住民の利益となるよう実施していくことができるかが焦点となるだろう。「アラブの春」を経験した国々では、共通して、開発や国家機構の腐敗撲滅が政府の正統性を取り戻す重要政策となっている。ホセイマの抗議とモロッコ政府の対応からは、「アラブの春」で深刻な政治の不安定化を経験しなかったモロッコにおいても、開発と腐敗対策が国民から支持を得て安定した政権を運営するための鍵であることが見て取れる。

(金谷研究員)

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