中東かわら版

№155 ヨルダン:在ヨルダン・イスラエル大使館再開で合意

 1月18日、ヨルダン政府は、2017年7月下旬から閉鎖されていた在ヨルダン・イスラエル大使館が再開されると発表した。これはイスラエル外務省がヨルダン外務省に対して、昨年7月の事件(イスラエル大使館内で、ヨルダン人の家具職人の少年とヨルダン人大家が、大使館の警備員に射殺された事件)について公式に謝罪したことを受けた措置だった。同事件後、ヨルダンはイスラエルに対して公式な謝罪とヨルダン人を射殺した警備員を裁判にかけるよう要求していた。イスラエルは、警備員については法的措置を取ることを検討するとした。今回イスラエルは、在アンマンのイスラエル大使館内で射殺された2人に加えて、2014年3月に、アレンビー国境管理事務所付近でイスラエル軍兵士に射殺されたヨルダン人の判事についても賠償金を支払うことに同意したと報道されている。この事件では、イスラエル軍兵士は自分をナイフで刺そうとした男を射殺したと主張したが、事件後、その人物はパレスチナ人ではなくヨルダン人の判事であったことが判明した。そのためイスラエル側は、合同委員会を設置して事件を調査したほか、ペレス大統領(当時)が、ヨルダン側に謝罪をしていた。

評価

 ヨルダン側は、昨年7月に起きた事件そのもの以上に、ヨルダン人2人を射殺した大使館の警備員をネタニヤフ首相が帰国後に英雄扱いしたことで態度を硬化させていた。今回、イスラエル側はヨルダン人の殺害を公式に謝罪しただけでなく、2人の遺族に賠償金を支払うことにも同意した。これはイスラエル側から見ても、警備員の対応(工具のねじ回しで自分を攻撃した少年を射殺した上に、一緒にいた大家を誤って射殺)に落ち度があったことを示唆しているのかもしれない。2人の遺族らは、今回の措置に満足しており、アブドッラー2世国王に謝意を表明している。

 イスラエル側は、昨年秋頃から新しい大使を任命するなど大使館再開をめざす動きをしていたが、ヨルダンは頑強に公式な謝罪を要求していた。そのため不幸な偶発的事件が、両国間の中長期的な関係に影響を与えることが懸念されていた。両国の外交関係は、米国のペンス副大統領のヨルダン・イスラエル訪問の直前に、ようやく正常化したことになる。

(中島主席研究員)

◎本「かわら版」の許可なき複製、転送はご遠慮ください。引用の際は出典を明示して下さい。
◎各種情報、お問い合わせは中東調査会 HP をご覧下さい。URL:https://www.meij.or.jp/

| |


PAGE
TOP