中東かわら版

№149 エジプト:大統領選挙日程の発表

 1月8日、国家選挙機構は2018年大統領選挙の日程を発表した。現職のシーシー大統領の任期は2018年6月7日で切れるが、立候補の意思はまだ表明していない。

立候補申請期間

1月20日~29日

立候補申請者の審査、

異議申し立ての受付など

2月6日~22日

最終立候補者リストの発表

2月24日

選挙運動期間

2月24日~3月23日

投票日

3月26~28日(在外16~18日)

投票結果の発表

4月2日

*決選投票

*4月24~26日(在外19~21日)

*決選投票結果の発表

*5月1日

 

 これまでに立候補を表明した人物は3名いる。有力候補とみられたアフマド・シャフィーク元首相は、1月7日に「自分は今後の国政を率いる適切な人物ではない」として立候補表明を撤回した。弁護士のハーリド・アリーは「社会の良識に反する行為」をした罪に問われ、3月7日に判決が下されることになっている。軍エンジニアリング部隊の現役将校、アフマド・コンソワという人物も立候補を表明したが、現役軍人の政治活動を禁止する法により逮捕された。

 国家選挙機構に大統領候補として申請するには、国会議員20名以上の推薦署名、または有権者25,000人以上の推薦署名が必要である。25,000人の署名は15県以上、かつ1県あたり1000人以上で構成されなければならない。また、過去に有罪判決を受けていないことも条件に含まれる。

 

評価

 大統領選挙の焦点は、①シーシーが立候補するのか、②そうであれば誰が対立候補となるのか、であろう。①に関しては、国会に議席をもつ政党の多くがシーシーの再選を支持しており、シーシーの立候補が確定すれば勝利は確実とみられている。大統領は過去に、人民が望むならば立候補する可能性はあると述べている。シーシー再選を支持する市民運動はすでに数万人の署名を集めている。近日中にシーシー大統領がどのような態度を表明するのか注目される。

 他方、誰が対立候補となるのかについては不透明である。シーシーの対立候補として最も有力視されたシャフィーク元首相は立候補を撤回し、ハーリド・アリー弁護士は3月の公判で有罪判決が確定すれば立候補資格を失う。つまり、シーシーが立候補した場合に対立候補がいない状況が生まれうる。対立候補がいない選挙は1人の候補者に対する信任投票となり、たとえ選挙プロセスが透明であったとしても、非競争的な選挙となることで、エジプトが民主主義を実践していることを対外的にアピールする力は弱くなるだろう。1月29日までの立候補申請期間に誰が大統領候補に名乗り出るか注目される。

(研究員 金谷 美紗)

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