中東かわら版

№129 エジプト:アフマド・シャフィーク元首相が2018年大統領選挙に立候補

 11月29日、アフマド・シャフィーク元首相が、滞在先のUAEで、2018年夏に予定されている大統領選挙への立候補を表明した。シャフィークが立候補について語る動画は、ロイター通信とアル=ジャジーラ局から発表された。これで、大統領選挙への立候補を発表したのは、ハーリド・アリー(ティーラーン・サナーフィール島裁判の原告弁護士)とシャフィークの2人となった。シーシー大統領自身はまだ立場を明らかにしていない。

 アフマド・シャフィークは、ムバーラク大統領時代に空軍司令官(1996-2002)、民間航空相(2002-2011)、首相(2011年1月29日—3月3日)を務めた。2012年大統領選挙の決選投票でムハンマド・ムルシーに敗北すると、エジプトからUAEに移住し、現在もUAEに滞在している。汚職の罪で起訴されたが無罪または起訴取り下げとなり、2016年にはエジプトへの入国禁止リストから外された。

 立候補の声明においてシャフィークは、これまで自身の滞在を受け入れてくれたUAE政府に謝意を示すとともに、近日中にエジプトに帰国することを考えているがUAEが自分の出国を禁じているとし、UAEによるエジプト内政への介入に反対すると述べた。これに対し、ガルガーシュUAE外務担当国務相は、UAEはシャフィークの出国を禁止してはいないと反論した。

 エジプト国内では、政治家や評論家からシャフィークの立候補を批判する声が出ている。その理由には、2012年大統領選挙で負けた後にエジプトを去り、エジプトのテロとの戦いから逃げていたこと、エジプト国内政治について批判的な報道を行うロイターやアル=ジャジーラを通じて立候補を発表したこと、UAEを批判したことなどが挙げられている。

 

評価

 シャフィークの立候補表明は、エジプト政界できわめて否定的に受け止められたようである。これまで各メディアが憶測を巡らせた立候補の可能性がある人物のなかで、シャフィークは常にそのリストにいた。しばしばシーシー政権について批判的発言をおこない、軍トップ経験者であることから、シーシーの強力な対抗馬と見なされていた。しかし今回のエジプト政界の反応から、今後、シャフィークは支持集めに困難を伴うであろうことが予想される。エジプトの政界や世論には外国メディアへの不信感が強く、特にアル=ジャジーラは反エジプト的であると嫌悪されており、シャフィークがカタルの影響を受けた候補者とみなされても不思議はない。

 しかし、シャフィークにせよハーリド・アリーにせよ、立候補が認められるかどうか自体がそもそも不明である。今後策定されるであろう大統領選挙関連法案で、シャフィークやアリーに不都合な立候補条件が準備される可能性や、2人に対して何らかの有罪判決が出されて立候補が不可能となる可能性もある。現在までにシーシー自身は立候補を表明していないものの、シーシーが立候補を決めれば再選は確実であろう。

(金谷研究員)

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