中東かわら版

№104 パレスチナ:ファタハとハマースが和解で合意

 2017年10月12日、エジプトの仲介の下で、カイロで和解協議をしていたファタハとハマースは合意に達したと発表し、同日合意書に署名した。署名式典には、エジプト諜報機関のファウジー長官が立ち合い、ファタハの中央委員で政治対話担当のアッザーム・アフマドとハマースの政治局次長に就任したばかりのアルーリーが署名した。ファタハとハマースは、11日からカイロでの協議を開始していた。パレスチナ自治政府(PA)のアッバース大統領、ハマースのハニーヤ政治局長は、それぞれ合意達成を歓迎する旨声明を出している。

 合意の内容については、断片的に報道されているだけで詳細は不明である。12日時点では、①PAは、12月1日までにガザの統治を開始する、②パレスチナのすべての政治勢力が参加する会合を11月21日にカイロで開催する、③ガザの境界事務所の管理は、11月1日までにPAに移譲する。そのためパレスチナ警察隊あるいは大統領警備隊約3000人がガザには配置される、④PAのガザ統治が順調に進む場合、アッバース大統領がガザを訪問する(前回の訪問は2007年)、⑤ガザに対するPAの財政的的圧力については順次停止する-などである。

評価

 ファタハとハマースの和解協議は、合意の署名まで進んだ。しかし、今のところ、ファタハとハマースの合意は「セレモニー」以上ではない。難問(ハマースの軍事部門、次期選挙、ガザのハマース系公務員問題など)を先送りする今回のような方式では、いずれ和解協議は破綻するだろう。他方、断片的であるが、履行すべき事項と具体的な日時が浮上している。こうした個々の案件の履行が順調に進むか否かを注視する必要がある。またパレスチナ自治政府が行っているガザに対する財政的締め付けが緩和されるかどうかも、和解作業の進捗状況を判断する材料になる。先送りされている難問について、いつ協議を開始するかも焦点になるだろう。イスラエル側が和解内容に注文をつけているが、今の段階でパレスチナ側が最優先すべきは分裂状態の解消である。

(中島主席研究員 中島 勇)

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