中東かわら版

№101 パレスチナ:ハムダッラー首相のガザ訪問

 2017年10月2日、パレスチナ自治政府(PA)のハムダッラー首相一行がガザを訪問した。ハムダッラー首相がガザを訪問するのは2015年3月以来である。首相一行(車30台)は、イスラエルを経由してガザに入った。首相のガザ入りは、テレビ中継された。ハムダッラー首相は、歓迎式典の後、ハマースのハニーヤ政治局長、ガザ地区政治局長サンワールとの協議を行っている。ハムダッラー首相は、3日にはガザで閣議を開催する予定である。1日には、すでにPA閣僚の一部や幹部らがガザ入りしており、エジプト代表団もガザを訪問している。

 今後の予定では、PAとハマース幹部らが、ガザの市民サービスに関連する業務の引継ぎ協議を開始すると報道されている。3日には、エジプトの諜報機関長官が、ラーマッラーを訪問してアッバース大統領と会談した後、ガザを訪問する予定である。また来週には、カイロで、ファタハとハマースの和解協議が再開される。ガザの国境管理やハマースの軍事部門の取り扱いなど政治的難問の協議は、カイロで行われる模様である。

 2日、PAのアッバース大統領は、エジプトのテレビ局との会見で、ガザはPAがすべてを統括するとし、ハマースが武器を保持することは許さないと述べた。アッバース大統領は、ガザのハマースが武器を保有し続け、レバノンにおけるヒズブッラーのようになることは許さないとした。イスラエル側は、今回は、ファタハとハマースの和解協議について非難せず、静観する姿勢を見せている。

評価

 ファタハとハマースの和解協議は、前回(2014/15年)頓挫したときに到達した段階までこぎつけた。今回の和解協議がさらに進展するためには、国境を誰が管理するのか、ハマース系の公務員をどうするのかなどの問題に加えて、ハマースの軍事部門の取り扱いで合意する必要がある。ハマース側は、民生に関する権限を手放すことは歓迎しているが、軍事部門はそのまま保持したい意向のようである。しかし、ファタハは、それでは承知しない。PAが、パレスチナを代表する唯一の存在になるためには、すべての軍事組織をPAの指揮下に統一する必要がある。ファタハとハマースだけでは合意は難しいかもしれないが、仲介者のエジプトが合意の実施を保証・監視するのであれば和解が成立する可能性がある。ガザの経済状態がこのまま改善されない場合、住民の不満が爆発する可能性がある。その場合、住民の怒りはPAに向かうとしても、ハマースが矢面に立たされることになる。そうした状況を回避するためには、ハマースは、ファタハとの和解を実現するか、合意できない場合でも、ガザの住民及びエジプトにハマースは真摯に和解合意のために努力したと思わせる必要があるだろう。

 

(中島主席研究員)

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