中東かわら版

№17 サウジアラビア:州知事・軍人・閣僚等の人事異動

 4月22日、サルマーン国王は州知事・軍人・閣僚等の人事異動に関する勅令42本(第159-200号)を発出した。

 主な異動は以下のとおり。

 

号数

新任

名前

属性・前職

159

ハーイル州知事(閣僚級)

アブドゥルアジーズ・サアド・アブドゥルアジーズ・アール=サウード

王族;ハーイル州副知事

160

国王特別顧問(閣僚級)

サウード・アブドゥルムフシン・アブドゥルアジーズ・アール=サウード

王族;ハーイル州知事

161

バーハ州知事(閣僚級)

フサーム・サウード・アブドゥルアジーズ・アール=サウード

王族;ビジネスマン

162

北部国境州知事(閣僚級)

ファイサル・ハーリド・スルターン・アブドゥルアジーズ・アール=サウード

王族;王宮府顧問

163

エネルギー・工業・鉱物資源省エネルギー担当国務相(閣僚級)

アブドゥルアジーズ・サルマーン・アブドゥルアジーズ・アール=サウード

王族;石油担当次官;サルマーン国王の息子

164

駐米大使(閣僚級)

ハーリド・サルマーン・アブドゥルアジーズ・アール=サウード

王族;軍人;サルマーン国王の息子

165

国防相室顧問

イード・アワード・イード・シャルウィー

軍人;中将;陸軍司令官

165

陸軍司令官(中将)

ファハド・トゥルキー・アブドゥルアジーズ・アール=サウード

王族;軍人;少将

166

閣僚評議会事務総長(閣僚級)

アブドゥルラフマーン・ムハンマド・アブドゥルアジーズ・イヤーフ・アール=ムクリン

準王族

178

通信・IT相

アブドゥッラー・アーミル・サワーハ

ビジネスマン;シスコ・サウジアラビア社取締役

179

公務員相代行

イサーム・サアド・サイード

国務相

180

スポーツ庁長官

ムハンマド・アブドゥルマリク・アール=シャイフ

シャイフ家

181

文化・情報相

アワード・サーリフ・アブドゥッラー・アワード

博士;駐ドイツ大使;元皇太子府経済・財政担当顧問

184

サウジ総合投資院総裁(閣僚級)

イブラーヒーム・アブドゥルラフマーン・ウマル

サウジ国営船社(バフリー)CEO

191

総合情報庁副長官

アフマド・ハサン・ムハンマド・アシーリー

軍人;国防相室顧問

192

第二副首相顧問

アブドゥルラフマン・アブドゥルアジーズ・シャルフーブ

博士;王宮府副儀典長

193
194

国家安全保障顧問(政治・安全保障評議会メンバー)

ムハンマド・サーリフ・ガフィーリー

財務省国際金融担当次官補

 

評価

 今回の人事異動において着目すべき点は複数ある。最も目を引くものは、サルマーン国王の息子2人が昇進したことだ。エネルギー担当国務相に就任したアブドゥルアジーズは、長年石油省(当時)に勤めており、将来の石油相候補とも言われていた。しかし、父親のサルマーンが国王に即位すると、アブドゥルアジーズの異母弟にあたるムハンマド・サルマーンが副皇太子に任命され、更に経済・開発評議会議長、アラムコ最高評議会議長としてアブドゥルアジーズより上位の序列に置かれた一方で、アブドゥルアジーズの昇進は見送られていた。今回、アブドゥルアジーズが閣僚級の国務相に据えられたことで、エネルギー問題に関するサルマーン家の体制はより磐石なものになったといえる。

 一方、駐米大使に任命されたハーリドは、ムハンマド・サルマーン副皇太子の同母弟であり、20代後半と見られる。キング・ファイサル空軍アカデミーで学位を取った後、サウジ空軍でパイロットになり、2014年の米軍主導によるシリアでの対「イスラーム国」空爆に参加したことで知られている。対米関係においては、2007年から2015年まで駐米大使を務めたジュベイル外相が現在も強い権限を握っており、後任のアブドゥッラー大使は存在感を発揮できずにいた。今回、年若く経験も少ないハーリドが駐米大使に任命されたのは、国王や副皇太子との距離の近さを売りにするためだろう。かつてのバンダル駐米大使のように、長期間大使を務めることが予想される。

 また、今回の人事異動では通信・IT相、公務員相、文化・情報相の3つの閣僚ポストが対象になっている。このうち、解任されたアラジュ公務員相については、大臣就任直後に自分の息子を月額21,600リヤール(約5,750ドル)の仕事に就けたことに関し、汚職の疑惑により調査をすることが正式に発表されている。汚職や縁故採用は国内政治において問題視されることが多いが、大臣が名指しで糾弾され、調査の実施が発表されることは極めて稀である。サウジ国民からは政治の透明化を進めるこの措置を歓迎する声があがっているが、こうした対応がパフォーマンスではなく、今後もあらゆる分野において防止されるような体制にならない限り、国民からの不満は再燃することになるだろう。

(村上研究員)

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