中東かわら版

№177 エジプト:内閣改造(第3次イスマーイール内閣)

 2月14日、イスマーイール首相は内閣改造を行った。新たに任命されたのは9名で、主に経済や行政に関わる閣僚が多い。また投資省と国際協力省、供給省と貿易省(貿易・産業・中小企業省から貿易部門のみ分離・統合)が統合され、統合された投資・国際協力省の大臣には、国際協力相を務めていたサハル・ナスルが就任した。9閣僚のうちサハル・ナスルのみが前内閣からの留任で、残り8名が新任である。

投資・国際協力相(統合)

サハル・ナスル

前国際協力相;女性

農業相

アブドゥルムヌイム・バンナー

【新】前農業研究センター長

議会問題相

ウマル・ハッターブ・アラファ

【新】前法相次官

供給・貿易相(統合)

アリー・ムサイルヒー(メセルヒー)

【新】現代議院議員;元社会連帯相(2005-2011);元人民議会議員(2005-2011)

地方開発相

ヒシャーム・シャリーフ

【新】元首相顧問(2014-2015)

計画・行政改革相

ハーラ・サイード

【新】;現カイロ大学政治経済学部長;女性

高等教育・科学研究相

ハーリド・アーティフ・アブドゥルガッファール

【新】前アイン・シャムス大学副学長

教育相

ターリク・シャウキー

【新】前カイロ・アメリカン大学科学工学部長

運輸相

ヒシャーム・アラファート

【新】前運輸相顧問

評価

 今回の内閣改造は国防、外交、内務、法務相といった重要ポスト以外が対象となり、そのため省の分離・統合や1~2年ごとの大臣の入れ替えという通常の内閣改造のパターンであった。

 今回の人事で最も注目されるのは、アリー・メセルヒーの供給・貿易相への任命である。メセルヒーはムバーラク時代に与党・国民民主党(NDP)に所属し、2005年から政権崩壊までシャルキーヤ県選出の人民議会議員であった。経済自由化の改革を進めたアフマド・ナジーフ内閣では社会連帯相を務め、補助金の段階的削減に取り組んだ。現政権はIMFの融資提供を受けて経済改革を進めているため、補助金改革の経験者を閣僚として迎えいれたと考えられる。

(研究員 金谷 美紗)

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