中東かわら版

№176 リビア:エジプト仲介でサッラージュ・ハフタル会談

 カイロで2月13~14日、エジプトの仲介によって、サッラージュGNA首相と東部・リビア国民軍のハフタル総司令官の対話の場が設けられた。東西に分裂したリビアを統一するため以前から二者会談が望まれていたが、ハフタルが拒否しつづけたため実現しなかった。1月からエジプト、チュニジア、アルジェリアによる仲介外交が活発化しており(『中東かわら版』2017年2月8日No.172)、今回、エジプトの仲介によって二者会談が実現した形となる。仲介委員会の委員長は、エジプト軍のマフムード・ヒガージー参謀総長が担った。

 しかし直接対話には至らず、間接対話で終わった。現地報道によれば、エジプト側がハフタルに直接対話に応じるよう説得したが拒否したようである。ハフタルの拒否を受けて、サッラージュ首相はトリポリに帰った。

 仲介役を担ったエジプト軍は、間接対話において両者が以下の点で合意に至ったことを発表した。

  • 代表議会と国家評議会のメンバー各15名から成る「共同委員会」を作り、リビア政治合意の修正案を作成する。完成した修正案は代表議会の承認を必要とする。
  • 代表議会は、リビア政治合意の内容を憲法宣言に付け加えるための修正を行う。
  • 2018年2月に議会選挙と大統領選挙を実施する。選挙実施に向けて、サッラージュ首相とハフタル総司令官は間接交渉を行う。
  • リビアにおける重要ポストすべてはその職務を継続する。2018年の選挙で移行過程が終了した後、これらのポストについて再度合意する。

評価

 これまで国連やサッラージュ首相がハフタルとの対話を呼びかけたが実現してこなかったことを考えると、間接対話ではあるものの会談が実現したことは、リビア統一プロセスにおける一つの前進といえるだろう。会談が実現に至った大きな要因は、東部勢力に大きな影響力を有するエジプトがハフタルに圧力を掛けたためと考えられる。

 しかし、会談での合意内容は国家統一を実現させる推進力に欠けている。新しい決定事項は選挙の実施のみで、それ以外は「合意形成のための合意」に過ぎず、実質的には現状維持である。リビア政治合意の修正作業を担う「共同委員会」にしても、統一プロセスをなるべく遅らせたい東部勢力によって委員会の発足や審議過程に遅れが生じると予想される。リビア政治合意の修正が遅れれば、2018年2月予定の選挙も延期されるだろう。

 統一が進まないことの最大の問題は、ハフタルが東西対立の主導権を実質的に握っており、ハフタルが拒否すれば統一が進まない状況にあることである。こうした東西の勢力バランスが変わらなければ分裂状態は続いたままとなるだろう。しかし、リビア内政に通じ、リビア統一を望むアラブ諸国が仲介に入ったことで、既に東西対立の勢力バランスは変化し始めているともいえる。今次会談ではハフタルの拒否で終わったが、今後、アラブ諸国の仲介が東西対立に変化をもたらすかどうか注目される。

(金谷研究員)

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