中東かわら版

№2 イエメン:ハーディー前大統領派の副大統領、首相が交代

 2016年4月3日、イエメンのハーディー前大統領は自派のハーリド・バハーフ副大統領兼首相を解任し、副大統領にアリー・ムフシン・アフマル大将、首相に2011年~2014年に挙国一致内閣の閣僚を務めたアフマド・ブン・ダグルを任命した。

評価

 イエメンでは、10日からクウェイトにてハーディー前大統領派とフーシー派・サーリフ元大統領派との協議が行われる予定であり、これに合わせて停戦が発効することも予想されている。今般の人事は、こうした日程に合わせたハーディー前大統領派の体制作りとも解される。一方、バハーフ副大統領兼首相の解任の理由は「経済・サービス・安全保障上の失策」、「サウジの友人たちから際限なく提供された支援を適切に管理しなかった」ことが挙げられており、サウジが率いる連合軍の介入によってアデンに復帰したものの、ハーディー前大統領派の「政府」が順調に機能していなかったことを示している。特に、バハーフ副大統領兼首相はハーディー前大統領派の「閣僚」人事などを巡りハーディー前大統領と度々対立しており、両者の不仲も今般の人事の背景であろう。

 しかし、イエメンの経済や行政サービスは紛争の影響で壊滅状態にあり、人口の8割が食料や飲料水に事欠く境遇に追いやられている。また、紛争に乗じて「アラビア半島のアル=カーイダ」やその関連団体の「アンサール・シャリーア」が占拠地域を拡大し、ハーディー前大統領派は「臨時首都」であるアデンの掌握すらおぼつかない情勢にある。イエメンでの事態打開は、10日から予定されている協議などで紛争収束への見通しを立てることができるかにかかっているといえよう。

(髙岡上席研究員)

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