中東かわら版

№58 トルコ:シリア国境での自爆攻撃の発生

 

 7月20日(月)11時50分頃、シリアとの国境地域にあるシャンルウルファ県のスルチで爆発があり、少なくとも31人が死亡、100人以上が負傷した。死者数は今後更に増加する可能性がある。

 スルチのアマラ文化センター前で社会主義青年民主連合(Federation of Socialist Youth Association (SGDF))の主催で、シリアの都市アイン・アル=アラブ(クルド語名:コバニ)の復興支援のための集会を行っていたところ、爆発が起きたとみられる。スルチから南西10kmに隣接するコバニは、クルド系住民が多く居住していた地域である。「イスラーム国」との戦闘によって壊滅的な被害を受けており、復興支援に協力しようと、アンカラ、イスタンブル、イズミール、ディヤルバクル等から300名の大学生を中心とする若者が参加、コバニへ向け移動する準備をしているところだった。

 ダウトオール首相は20日の記者会見で、今回の爆発はトルコを狙った自爆攻撃であるとの見方を示し、トルコ国民へ向けては常識ある行動を取るよう呼びかけるとともに、現地に調査団を派遣したことも発表した。

 また、トルコのヒューリエット紙は政府筋の話として、「イスラーム国」を支持する18歳の女性が自爆攻撃を引き起こした可能性が高いと報じている。

 

評価

 現時点ではこの自爆攻撃がどのような背景で起こったのか詳細なことはわかっていない。「イスラーム国」から正式な犯行声明も出されておらず、今後も出される可能性は低いと思われる。しかしながら、自発的な犯行であったにせよトルコがターゲットとなったこと、さらに実行犯とみられるのが18歳の少女であったことはトルコ国内に大きな衝撃を与えている。

 6月7日の総選挙実施から1ヵ月以上が経過してもなお、正式な政権が樹立できていない中で発生した今回の事件は、対応を誤れば更なるトルコの内政不安定化に影響を及ぼしかねないだろう。

(金子研究員)

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