イベント情報

7.4 第5回読書会

  • その他の行事
  • 公開日:2016/07/06

日時:平成28年7月4日(月)

場所:中東調査会

時間:18時~20時

文献:Zachary Lockman, Field Notes: The Making of Middle East Studies in the United States (Stanford UP, 2016).

出席者:今井宏平(アジア経済研究所研究員)、溝渕正季(名古屋商科大学准教授)、近藤重人(日本エネルギー経済研究所研究員)、高橋雅英(青山学院大学大学院修士課程)、中東調査会:村上

 

文献の内容:

・米国の地域研究の起源と発展の軌跡を1920年代から1980年代までの中東研究に焦点をあてて考察.

・カーネギー財団、ロックフェラー財団、フォード財団が地域研究の立ち上げに重要な役割を果たしたと指摘. 地域研究は「単なる冷戦の産物」ではなく、人文・社会科学の変化から生まれてきたと主張.

・米国学術団体評議会(American Council of Learned Societies: ACLS)、米国社会科学研究評議会(Social Science Research Council: SSRC)といった学術機関の動向、組織的な発展に注目. 財団や学術機関が所蔵する一次資料に依拠して議論を展開している.

議論:

・米国の地域研究の発展は冷戦期において地域研究の需要が高まったためという通説的な説明に対し、冷戦以前から、そして政府主導ではなく財団の支援により地域研究の発展の萌芽が生じていたことを指摘しており、議論として興味深い.

・ACLS、SSRC、そして両機関から生まれた学術機関の設立や発展、統合など、中東地域研究を支える環境となる組織の変遷についての描写が詳細な一方、これらの組織を動かしていた人物、組織内で生じた意見対立など、人間の動きについてはほとんど触れられていない. また、政策系のシンクタンクについても特に言及はなかった. これらの点について記述があれば米国の中東研究の発展の全体像がより明確になったのではないか.

・日本の状況と比較し、このような民間の財団による支援で学術研究が発展することは、米国の学術環境の大きな特徴であろう。他方、地域研究に科学的分析手法を導入すること、または地域研究から学術理論に大きく貢献することに、米国の中東地域研究が必ずしも成功してこなかったという指摘は、日本にも共通する問題であるように思う。

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