イベント情報

10.1 第3回読書会

  • その他の行事
  • 公開日:2015/10/05

日時:平成27年10月1日(木)

場所:中東調査会

時間:18時~20時

文献:Nuno P. Monteiro, Theory of Unipolar Politics, Cambridge University Press, 2014

出席者:溝渕正季(名古屋商科大学専任講師)、近藤重人(慶應義塾大学博士後期課程)、高橋雅英(外務省専門分析員)、中東調査会:村上

 

文献の内容:

問題意識:二極体制や多極体制に比べて、一極体制に関する理論的研究はほとんどない

問い:①一極体制は頑健か? ②一極体制は平和的か? ③超大国がとるべき大戦略は?

 

前提:①主権国家が主要なアクター。国際社会はアナーキー。②国家の目的は生存。③生存の次は富。④国家は合理的。

国際政治の構造:システムの原則(ヒエラルキーorアナーキー)、主体の機能、パワーの分布

一極体制:単一の超大国が存在するアナーキーなシステム ≠ ヒエラルキー

超大国(Great Power):システム内の最大の国家と全面的な防衛戦争を戦って敗北をしない可能性が高く、単独で継続的な戦力投射をできる能力を持つ国

大国(Major Power):あらゆる国家に対し攻撃のコストを払わせることができる国 = 核保有国

 

超大国の大戦略は、軍事戦略①offensive dominance(現状の変革)、②defensive dominance(現状維持)、③disengagement(不関与)と、経済戦略①accomodation(大国の経済成長を認める)、②containment(大国の経済成長を封じ込める)の、3×2=6通りのパターンがある。

 

結論①:一極体制は核兵器の存在により頑健である。超大国が大戦略としてdefensive accomodationを採用するならば、大国は超大国に対してバランシングをしない。

結論②:一極体制は平和的ではない。超大国・大国間の戦争は発生しないが、超大国・小国間、大国・小国間、小国同士の戦争は発生する。

結論③:競合のコストより紛争のコストが大きいならば、米国がとるべき大戦略はdefensive accomodationになる。

 

議論:

・構造的リアリズムに基づき、一極体制の特徴について、理論的な整理が行われていた。著者自らが設定した前提に基づくのであれば、問いに対する結論は論理的に正しいと考えられる。

・アナーキーな構造の一極体制と、ヒエラルキーな構造の覇権は定義が異なることが示されており、各地域において米国が現状維持あるいは不関与の立場をとるとしても、一極体制が成立するという考え方は、米国の影響力の衰退という言説を検討するにあたって、重要な見方である。

・他方、現実の情勢と正しく符合しているのかという点に関しては、いくつか疑問もある。2009年以降の中東における米国の大戦略はdefensive accomodationに分類されているが、果たして米国は中東において「現状維持」を実現できているのだろうか。このような理論と現実との不一致は、前提の部分から誤りがあるからではないだろうか。

 

以上

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