その他の行事

5.7 第1回読書会

  • その他の行事
  • 公開日:2015/06/09

日時:平成27年5月7日(木)

場所:中東調査会

時間:18時~20時

文献:Mark L. Haas, The Clash of Ideologies: Middle Eastern Politics and American Security, 2012.

出席者:今井宏平(日本学術振興会特別研究員)、近藤重人(慶應義塾大学博士後期課程)、高橋雅英(外務省専門分析員)、中東調査会:村上

 

概要

1.文献の内容

問い:イデオロギーが国際関係をどのように形成しているか(&中東における米国の国益)

イデオロギー=「国内・国外における政治秩序に関する指導者の選好」≠平和、パワー、安全保障

仮説1:指導者間のイデオロギーの差異が大きいほど、相手を自国に対する脅威と見なす
仮説2:イデオロギーは、指導者の同盟政策に強い影響を与え、差異を乗り越えるのは容易ではない
仮説3A:イデオロギーの大きな差異は、イデオロギーの輸出につながる
仮説3B:穏健なイデオロギー政策は①イデオロギー穏健派が対象国で力を持っているとき、②イデオロギーが多極構造のときに成功しやすい。強硬なイデオロギー政策は、①イデオロギー保守派が対象国を支配しているとき、②イデオロギーが二極構造のときに成功しやすい

 

他の理論との関係:民主平和論、文明の衝突、脅威均衡、オムニバランシング、ネオリアリズム

独立変数:イデオロギーの差異、イデオロギーの極  従属変数:指導者の脅威認識、安全保障政策

 

2.議論

  • 議論においては、概ね以下のとおりのことが議論された。
  • 中東地域を分析する際にしばしば用いられる「イデオロギー」という概念を、国際関係論の理論から捉えなおすことに成功している。モデルは単純かつ明快であり、他の事例への適用にも期待ができる。
  • 他方、イデオロギーの概念を単純・明快にした反面、規範やアイデンティティーなど、他の概念との関係がどのように整理されているのか不明な点も散見される。
  • また、イデオロギーの差異の大きさをどのように測るかなど、課題も多い。例えば、サウジ、イラン、そしてアル=カーイダなどの過激派は、イスラーム主義という一つのイデオロギーの極に分類されているが、これらの集団間でイデオロギーが近いという認識が存在するかは大いに疑問である。

 

以上

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