イベント情報

8.18 第3回「ペルシア湾岸地域を取り巻く国際情勢と海洋の安全保障」研究会

  • その他の行事
  • 公開日:2017/08/21

1.第3回研究会概要

日時:平成29年8月18日(金)

場所:中東調査会

時間:18時30分~20時30分

出席者:今井宏平(アジア経済研究所研究員)、栗田真広(防衛研究所研究員)、溝渕正季(名古屋商科大学准教授)、村野将(岡崎研究所研究員)、八塚正晃(防衛研究所研究員)、中東調査会:金谷、村上

 

2.研究報告

報告者: 八塚正晃・防衛研究所研究員

タイトル:中国の中東政策と海洋安全保障

概要:中国は中東地域に対して、平和共存5原則に基づいて全方位・中立的な外交政策をとり、経済・貿易協力を中心に関係を進展させてきた。これは中東の紛争に巻き込まれることを回避しつつ、中国が自国の周辺地域で抱える紛争で支持を取り付けることが目的だった。とくに近年では「一帯一路」構想の下、中東はインド洋と地中海をつなぐ「一路(海上のシルクロード)」の要所として注目されている。他にも資源問題、反米感情、市場の潜在性の観点からも中東と「一帯一路」との親和性が指摘できる。軍事面では、無人機の輸出、中国軍による海賊対策や対テロ合同演習にみられる軍事外交、北斗衛星システム協力等が注目される。また、ジブチに建設された海軍保障施設は、2017年8月に保障基地と呼称が変わって運用が開始されたが、これまで海外で軍事基地を持つことを自己規制してきた中国にとって大きな転換点であった。中東・インド洋圏で進む港湾開発には、こうしたプレゼンス拡大型のほか、グワダル港などの地政学反映型、ドーハ港、ドゥクム港など利益重視型があり、それぞれの役割や開発の進展具合は異なる。このように中国は中東に関与を深めているものの、「一帯一路」構想が孕む政治経済リスク、内政不干渉原則を掲げつつ内政の混乱が続く中東地域へ関与する難しさ、中東諸国間で対立が激化するなかで中立性を維持できるのかといった問題も抱えている。

 

報告者:金谷美紗・中東調査会研究員

タイトル:「アラブの春」後におけるエジプトの湾岸情勢へのアプローチ

概要:エジプトは、GCC諸国とは相互依存関係にあるものの、イランとは1979年以来、国交断絶状態にある。しかし、GCC諸国、特にサウジは、自身が関与する様々な地域紛争にエジプトが関与することを期待しているが、エジプトは部分的に関与するか、一部ではサウジの利益に反する行動をとっている。エジプトは、シーア派のからむ湾岸地域の紛争への直接関与を避ける行動をしており、サウジと対立関係にあるシリア、さらにはその背後のイランとも接近する姿勢を見せている。これはエジプトは現在、中東地域で「現状維持」を最大の国益と見なしていることに由来する。エジプトにとって最大の危機は国内のムスリム同胞団であり、「イスラーム国」への対処は優先順位が高くない。また、シーア派の脅威についてもエジプト国内では小さく、サウジと認識を共有していない。他方、国交断絶状態にあるイランとは、暗黙の協調関係を目指す節がある。これはシリア紛争など地域問題解決のためにはイランの排除が望ましくないというエジプトの安全保障観に基づく戦略である。

 

※本研究会の成果は、2018年1月末発刊の『中東研究』 第531号および2018年2- 3月に開催予定の連続講演会で発表する予定です。

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