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2.27 連続講演会「ペルシア湾岸地域を取り巻く国際情勢と海洋の安全保障」第3回

  • 講演会の報告
  • 公開日:2018/02/28

2018年2月27日(火)、フォーリン・プレスセンター「会見室」にて、連続講演会「ペルシア湾岸地域を取り巻く国際情勢と海洋の安全保障」第3回を開催しました。

 

講師・演題:

今井宏平(アジア経済研究所研究員)「なぜトルコはカタルを重視するのか」

金谷美紗(中東調査会研究員)「最近のエジプト外交における湾岸地域情勢の位置づけ:イエメン紛争とカタル断交問題の比較」

(講演会要旨)

今井宏平(アジア経済研究所研究員)「なぜトルコはカタルを重視するのか」

トルコ外交は地政学的理由から西洋重視、中東重視、テュルク系重視といった複数の側面や、現状維持、現状打破といったアイデンティティなどによって形成されてきた。現在の公正発展党は、地政学的には中東、ロシア、クルド重視といった特徴があり、さらにアイデンティティとしては現状打破的な新オスマン主義に傾倒していると言える。こうした対象は東アラブ諸国が中心だったが、近年の傾向として湾岸地域にまで拡大している。そのなかでも、トルコは2007年以降カタルと安全保障関係を強化させているが、これは両国ともムスリム同胞団を重視するところが最大の理由だろう。2017年6月にサウジ、UAE、バハレーン、エジプトがカタルと断交を決定すると、トルコは2014年に調印していた協定に基づき、トルコ軍をカタルに派遣して軍事訓練を実施した。他方、トルコとサウジアラビアは同じスンナ派ムスリム、アメリカの同盟国、シリア反体制派支持という点で利害が一致しており、両国間で必要以上の関係悪化を望んでいない。むしろ、ムスリム同胞団を敵視するUAE、さらに湾岸諸国への関与を強めるエジプトとトルコとの対立が目立っている状況である。トルコによる湾岸への関与はこうした構図のまま強まっていく可能性が高いだろう。

 

金谷美紗(中東調査会研究員)「最近のエジプト外交における湾岸地域情勢の位置づけ:イエメン紛争とカタル断交問題の比較」

現在のエジプト外交において、イスラエルはもはや優先して対処すべき対外的脅威には位置づけられておらず、むしろリビアの混乱による「イスラーム国」の台頭やトルコ・カタルによるムスリム同胞団支援こそが最大の脅威とみなされている。国内の安定性を維持するため、湾岸諸国による直接的な経済支援やエジプト人労働者の吸収をエジプトは期待する一方、湾岸諸国はエジプトをイランに対抗するためのカウンターバランスとなることを求めている。しかし、イエメン紛争においてサウジアラビアはエジプトの地上軍派遣を求めたものの、イランを実存的脅威と見なさないエジプトにとってはイランと対抗するコストを負うことは合理的ではない。これと比較して、カタル断交問題ではエジプトは当事者となり、カタルによるムスリム同胞団支援の停止やメディアの閉鎖を要求している。これは、ムスリム同胞団に代表されるテロリズムを体制の危機とシーシー政権が捉えているためであり、外交においてもムスリム同胞団の影響力を無力化することが最優先事項となっているためであろう。

 

質疑応答では、2007年以降にトルコ・カタル関係が強化されたのはなぜか、ムスリム同胞団の思想についてトルコ・エジプトがどう評価しているか、エジプトで経済発展がうまく進展しないのはなぜかなどについて質問があった。

 

(※講演内容は講師の個人的見解であり、講師の所属先の立場や見解、認識を代表するものではありません)

 

以上

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