講演会の報告

2.23 中東情勢講演会(店田廣文・早稲田大学教授)

  • 講演会の報告
  • 公開日:2017/02/24

2017年2月23日(木)、フォーリン・プレスセンター「会見室」にて、滞日ムスリムの調査をご専門とする店田廣文・早稲田大学教授をお招きし、中東情勢講演会を開催いたしました。

 

講 師:店田 廣文(たなだ ひろふみ)早稲田大学人間科学学術院教授

演 題:「日本におけるムスリム移民・難民の現状と課題」

 

日本のムスリム移民・難民の現状と課題を理解するに当たり、講師はまず、日本のムスリム人口が歴史的にどのように増加していったか、また、各地にどのような滞日ムスリム・コミュニティが形成されていったかを概観されました。こうしたムスリム・コミュニティの持続的発展を考える上では、子どもに対する教育など次世代ムスリムの育成や日本の地域社会との関係が、共同体の継承にとって重要であると指摘されました。

また、中東出身のムスリム移民については、ムスリム移民全体の15%程度を占めており、主にトルコ、イラン、アフガニスタン、エジプトからの移民が多いこと、国籍により在留資格には差異があることについて説明がありました。難民については、日本では中東出身者に限らず難民受入数が極めて少なく、アフガニスタンやイラン、シリアなどから一定数の難民を受け入れているものの、難民受入数の拡大については日本社会の側にも消極的な意見があり、今後も大幅に変化する見通しはないとの見解を示されました。最後に、今後も滞日ムスリムは増加していくと見られるため、多文化共生が課題になると指摘されました。

質疑応答では、イスラーム学校の設置の動き、ムスリム・コミュニティ側の日本社会への視線、ムスリム・コミュニティによる信仰実践活動などについて質問と説明がありました。

 

 

(※講演内容は講師の個人的見解であり、講師の所属先の立場や見解、認識を代表するものではありません)

講師略歴 

店田 廣文 (たなだ ひろふみ)

早稲田大学人間科学学術院教授。博士(人間科学)。1972年、東京外国語大学アラビア語学科卒業。1985年、早稲田大学文学研究科博士課程単位取得満期退学。1991~92年、エジプト国立社会犯罪研究所客員研究員。1998~99年、カイロ・アメリカン大学社会調査センター客員研究員。1994年より現職。主要著書・論文:『エジプトの都市社会』(早稲田大学出版部 1999)、「戦中期日本における回教研究 -『大日本回教協会寄託資料』の分析を中心に-」(『社会学年誌』47、2006)、『日本のモスク:滞日ムスリムの社会的活動』(山川出版社、2015)、「日本におけるムスリム移民・難民の現状と課題」(『中東研究』528、2017)。

 

以上

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