講演会の報告

6.23 中東情勢講演会(安田慎・帝京大学講師)

  • 講演会の報告
  • 公開日:2015/06/09

6月23日(14:30-16:00)、フォーリン・プレスセンター「会見室」にて、下記の通り中東情勢講演会を開催しました。

 

講 師:安田 慎(帝京大学経済学部観光経営学科 講師)

演 題:「虚像としてのムスリム観光客 ハラール・スタンダードが生み出すイメージと実像」

講師は、地域・文化の多様性を捨象した「ムスリム観光客」カテゴリーの問題性をまず指摘した後、「イスラーム的経営」の遵守を優先する「理念派」と、「イスラーム的商品の生産・消費」に重点を置く「市場派」の二つの潮流があることを説明されました。また、欧米志向だったアラブ人観光客を9.11以降にマレーシアが積極的に誘致し、産官学のイスラミック・ツーリズム振興政策を行ってきたこと、およびシンガポールのハラール環境格付け企業の役割を紹介されました。こうした市場としての観光産業の合理化志向によって形成されたハラール・スタンダードは、ムスリム側の多様なスタンダードとは依然としてズレがある状況を提示されました。

>質疑応答では、日本国内のハラール・スタンダードと観光産業の現状、東南アジアや中東地域でのハラール認証商品に対する認識や展開の相違、イスラミック・ツーリズムと伝統的な巡礼の違いについて説明がありました。

(講演内容は、講師の個人的見解であり、講師の所属先の立場や見解、認識を代表するものではありません)

講師略歴 

講師:安田 慎(やすだ・しん)

帝京大学 経済学部 観光経営学科 講師

2007年 上智大学 文学部 史学科 卒業
2010年 シリア・アラブ共和国 フランス・アラブ研究所 共同研究員(~2011年)
2012年 京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科 東南アジア地域研究専攻 五年一貫博士課程 修了(博士[地域研究] 取得)
2012年 京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科 研究員(~2013年)
2013年 帝京大学 経済学部 観光経営学科 専任講師(現在に至る)

イスラームとツーリズムをめぐる動向について、イスラミック・ツーリズムの発展を事例に研究を行っている。主な著作に、「倫理からシャリーア・コンプライアンスjへ-オルタナティブ・ツーリズムとしてのイスラミック・ツーリズムの形成」『観光学評論』1 (1)、2013など。『中東研究』Vol.523に「ハラール・スタンダードの形成と軋轢――クレセントレーティング社におけるムスリム観光客ガイドラインを中心に」を寄稿。

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