中東分析レポート(会員限定)
湾岸諸国の対米融和政策と中東情勢への影響
No.R16-12 湾岸諸国の対米融和政策と中東情勢への影響
2017年1月に米国で発足したトランプ政権は、ムスリム諸国に対する入国規制措置、パレスチナ問題での二国家解決案に固執しない立場の表明など、中東・イスラーム圏で物議を醸すような政策を矢継ぎ早に打ち出した。しかし、湾岸諸国はトランプ政権発足から一貫して米国への融和的な態度を維持しており、3月にサウジのムハンマド・サルマーン副皇太子が米国訪問したことは、二国間関係の「歴史的な転換点」とすら評された。湾岸諸国による対米融和政策は、米国と湾岸諸国との関係のみならず、中東情勢にも影響を及ぼすことになるだろう。本稿は、同政策の実態とその背景について分析し、中東情勢の今後の展望について見通すことを目指す。