中東諸国民の国際秩序観 世論調査による国際関係認識と越境移動経験・意識の計量分析
地域研究と計量政治学を組み合わせた、新たな中東理解へのアプローチ
「アラブの春」は、一般民衆の政治意識と政治行動を知ることが、いかに重要であるのかを浮き彫りにした。本書では、オリジナルの世論調査データから、中東一般国民の政治意識、国際関係認識、越境移動の経験と意識を解明。中東政治研究の新たな地平を切り開く1冊。
目次
序 章 中東諸国民の国際関係認識と越境移動
は じ め に
1 世論調査という方法について
2 国際秩序を捉える政治的認知地図
3 アラブ人の越境移動の経験と意識
4 本書の目的
第Ⅰ部 政治的認知地図
第1章 シリア国民の政治的認知地図
――世論調査の計量分析から読み解く政治意識――
は じ め に
1 「シリア・アラブ共和国における全国世論調査」
2 政治的認知地図の描出と回帰分析を通じた国際関係認識の構造解明
お わ り に
第2章 アラブ諸国の世論調査結果に見る政治的認知地図
――シリア,エジプト両国民比較――
は じ め に
1 シリアとエジプトの世論調査の概説
2 「シリア・アラブ共和国における全国世論調査」の計量分析
3「社会成員の志向に関する社会的研究」の計量分析
お わ り に
第3章 レバノン国民の政治的認知地図
――2010年5~6月実施の全国世論調査結果をもとに――
は じ め に
1 「中東世論調査(レバノン2010年)」の概説
2 政治的認知地図の描出
お わ り に
第4章 「アラブの春」の陰で
――パレスチナ人の政治的認知地図に反映された政治的課題――
は じ め に
1 中東地域における国際秩序の理論的解釈
2 国際関係認識の計量分析に関する先行研究
3 パレスチナ人にとっての「アラブの春」の意味
4 パレスチナ人の国際関係認識
お わ り に
第5章 イスラエル人の国際秩序観
――政治的認知地図の変容――
は じ め に
1 国際秩序観
――中東地域システムを中心に――
2 政治的認知地図2011—2016年
お わ り に
第6章 政治的認知地図の変容に見る「シリア内戦」の影響
は じ め に
1 世論調査概説
2 政治的認知地図の経年比較
お わ り に
第7章 階層政治的認知地図
――シリア国内避難民(IDPs)を対象とした世論調査結果をもとに――
は じ め に
1 「中東世論調査(シリア国内避難民2018)」概説
2 上層政治的認知地図
3 下層政治的認知地図
お わ り に
第Ⅱ部 越境移動の経験と意識
第8章 シリア人の国境を越える移動に関する経験と意識
――世論調査の計量分析から読み解く社会意識――
は じ め に
1 「シリア・アラブ共和国における全国世論調査」
2 先行研究における国際移動の認識
3 越境移動の目的と移動者の属性
お わ り に
第9章 パレスチナ人の越境移動に関する経験と意識
――移動先の選択と動機のメカニズム――
は じ め に
1 先 行 研 究
2 パレスチナ人の越境移動に関する経験と意識
3 移動希望先の選択と動機のメカニズム
お わ り に
第10章 レバノン人の越境移動に関する経験と意識
――「新しいフェニキア人」像の再考――
は じ め に
1 先行研究の検討と仮説の導出
2 越境移動を経験・希望するレバノン人はどのような人々か
3 考 察
――レバノン人の越境移動についての経験と意識――
お わ り に
第11章 紛争地帯での国内政治と国際政治の連関
――自然実験によるレバノン市民の態度変容へのアプローチ――
は じ め に
1 レバノン内政の概要
――中東の地政学とシリア避難民――
2 リサーチデザイン
――DD 推定――
3 ヒズブッラー支持態度の形成
お わ り に
第12章 「潜入問題」再考
――シリアを破壊する外国人戦闘員の起源――
は じ め に
1 イスラーム過激派戦闘員
――目的と出身地――
2 潜 入 問 題
3 考 察
お わ り に
第13章 トルコに避難したシリア人は母国への帰国を望んでいるのか?
――一時的庇護下のシリア人(SuTPs:Syrians under Temporary Protection)に関する調査(2017)の分析――
は じ め に
1 シリア人の意識,意見,見解に関する調査
2 一時的庇護下のシリア人(SuTPs:Syrians under Temporary Protection)に関する考察
お わ り に