№52 イラン:英仏独がスナップバックの手続きを開始へ
- 2025湾岸・アラビア半島地域イラン
- 公開日:2025/08/28
ニュースサイト「AXIOS」は2025年8月28日付の記事で、英仏独3カ国の外相がルビオ米国務長官に対し、対イラン国連安保理制裁の一斉再適用(スナップバック)に向けた手続きを28日に行う意向を伝えたと報じた。
27日、ガリーブアーバーディー法律・国際問題担当外務次官は、スナップバックが発動されれば、IAEAとの間の現行の協力も停止されると警告したが、イランで再開されたIAEA査察官による査察活動は、ロシアから供給される核燃料のブーシェフル原発への装填を監視するものにとどまっており、欧州3カ国がスナップバックを思いとどまるようなものとはなっていなかった。
評価
国連安保理決議第2231号のパラ11及びパラ12によれば、イラン核合意(JCPOA)参加国によるJCPOA上のコミットメントの著しい不履行があったとの通報がJCPOA参加国から国連安保理にあった場合、安保理は30日以内に国連安保理決議第1696号(2006年)、第1737号(2006年)、第1747号(2007年)、第1803号(2008年)、第1835号(2008年)及び第1929号(2010年)の適用停止を継続するための決議案について投票することになっており、この決議案が採択されなかった場合には、上記の6本の国連安保理決議に基づく対イラン制裁の適用が一斉に復活することになる。
国連安保理制裁が再適用されれば、「イランの核活動に寄与し得る」団体・個人・銀行との取引や「イランへの大型通常兵器等の供給等に関連する活動に寄与する目的で行う取引」等に制限がかかることになる。
ただし、同決議のパラ13では、JCPOA参加国は国連安保理への通報の原因となった問題の解決に努力しなければならず、もし30日以内に問題が解決した場合には、上記の6本の安保理決議の適用停止が継続されることになる。
それゆえ、この30日間でJCPOA参加国の間での交渉に進展があった場合、対イラン国連安保理制裁の再適用が中止ないし先送りされる可能性もある。
2025年10月18日に期限を迎える国連安保理決議第2231号の期限延長、イラン・IAEA間の協力、イラン・米国間の核交渉の再開の主要3点について、JCPOA参加国間で30日以内に合意が得られるかどうかが焦点となるが、一部のイランの国会議員らはブーシェフル原発への核燃料の装填作業の監視のためのIAEA査察官らのイラン訪問にすら抗議の声を挙げている。ハーメネイー最高指導者の「英断」がなければ、上記項目について合意し、国連安保理制裁の復活を阻止することは困難であろう。
【参考】
「イラン:IAEAとの協力再開の可能性」『中東かわら版』2025年度No.51、2025年8月28日。
(主任研究員 斎藤 正道)
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