№119 イラン:ペゼシュキヤーン大統領、外務大臣に対米交渉を指示
- NEW2026湾岸・アラビア半島地域イラン
- 公開日:2026/02/03
2026年2月3日、ペゼシュキヤーン大統領はXへの投稿で、「交渉に向けた米国大統領の提案に応えるよう求めてきた地域の友好諸国の要請に鑑み、脅迫や不条理な期待のない適切な状況が存在するのであれば」、「国益に基づいた公正・公平な交渉を行うための環境を用意するよう、外務大臣に命じた」と投稿した。Axiosの報道によると、アラーグチー外相と米国のウィトコフ中東担当特使が2月6日にイスタンブルで会談する予定だという。
評価
イランと米国の軍事的緊張が高まる中、イランと周辺諸国との外交活動が活発化していた。
1月28日、トランプ米大統領はSNS「トゥルース・ソーシャル」への投稿で、空母アブラハム・リンカーンに率いられた大規模艦隊がイランに向かっているとした上で、イランが核問題について、早急に交渉のテーブルに就くことに期待を表明した。同大統領はさらに、時間切れになりつつあるとした上で、もしイランが米国と合意を結ばなければ、米国の次の攻撃は前回のものよりもずっとひどいものになるだろうと警告した。
同日、アラーグチー外相は、カタルのムハンマド・ビン・アブドッラフマン外相、エジプトのアブドゥルアーティー外相、トルコのフィダン外相と相次いで電話会談を行った。アラーグチー外相はカタル外相との電話会談で、イラン側から米国に交渉を求めたことはないとした上で、仲裁者として周辺各国と連絡を取っているところだと述べたと伝えられており、米国による対イラン攻撃を避けるために懸命の外交努力が行われていたことが窺える。
1月30日には、アラーグチー外相はトルコを訪問し、同国のフィダン外相と会談した。アラーグチー外相は会談後の共同記者会見で、合理的で公正なものであり、かつイランの正当な利益と懸念が考慮されるのであれば、同国はいかなる外交的プロセスにも参加する用意があると述べて、対米交渉の可能性を否定しなかった。ただし、もし米国がイランを攻撃するようなことになれば、二国間戦争という範囲を超える可能性があるとの脅し文句を入れることも忘れなかった。
なお、フィダン外相は、アラーグチー外相との会談の前日、米国のウィトコフ中東担当特使と協議したことを明らかにしている。1月22日にペゼシュキヤーン大統領はトルコのエルドアン大統領と電話会談を行っているが、その前日にエルドアン大統領はトランプ米大統領との電話会談で、トルコを交えたイランと米国の指導者による三者協議を提案したとも報じられていた。
翌31日、ラーリージャーニー国家安全保障最高評議会書記は、ロシアを電撃訪問し、同国のプーチン大統領と会談した。翌日付のXへの投稿で、ラーリージャーニー氏は「交渉のための形作り」が進んでいると述べている。
一部報道は、イランが保有している「余剰の」ウランの扱いをめぐって、ロシアとの間で合意があったのではないか、との国会安保外交委員会の委員の発言を伝えている。もし同委員の推測が正しいとすれば、イランが保有し、2025年6月の米国の爆撃によって地中に埋まったとされる高濃縮ウランをロシアに引き渡すという形で、イラン核問題の収束を図っているのかもしれない。
しかし、米国はイランの弾道ミサイルの射程距離についても制限を求めているとされる。アラーグチー外相は、30日のトルコのフィダン外相との共同記者会見で、「イランは自らの国防力を必要なだけ維持し、拡大させる」と言明している。弾道ミサイルはイラン国防の要であり、米国の要求を飲むことは困難だと思われる。
(主任研究員 斎藤 正道)
◎本「かわら版」の許可なき複製、転送はご遠慮ください。引用の際は出典を明示して下さい。
◎各種情報、お問い合わせは中東調査会 HP をご覧下さい。URL:https://www.meij.or.jp/








.png)
.jpg)