中東かわら版

№31 イラン:トランプ米大統領がイラン・イスラエル間の停戦を発表

 日本時間の2025年6月24日朝7時2分、トランプ米大統領はSNS「トゥルース・ソーシャル」で、イスラエルとイランとの間で「完全な停戦」が合意されたと発表した。発表によると、これから約6時間以内にイスラエルとイランは戦闘の終息に向けて動くこと、イランがまず停戦を開始し、12時間以内にイスラエルも停戦を開始し、24時間で戦争は「公式に終わり」を迎えることになるという。同大統領はその上で、「12日間戦争」を戦ったイスラエル・イラン両国の「スタミナ、勇気、そしてインテリジェンス」を称えた。

 これに対し、イランのアラーグチー外相は日本時間9時46分付のXへの投稿で、現在のところ、停戦に関する合意は一切ないとしつつ、テヘラン時間午前4時(日本時間9時半)までにイスラエルが「イラン国民に対する違法な侵攻を停止する」ならば、イランもイスラエルへの攻撃を続けるつもりはないとし、「我々の軍事オペレーションの停止に関する最終決定は後ほど下される」と投稿した。

 同外相はさらに、10時3分付の投稿で、テヘラン時間午前4時の最後の瞬間まで、イラン軍によるイスラエルへの懲罰は続けられたと報告した。

 なお、BBCのウェブサイトは、テヘランからの証言として、現地時間午前4時から砲撃音は止まったと伝える一方、日本時間11時半頃、イスラエル軍の発表として、イランからのミサイル攻撃があり、同国南部ベエル・シェバに着弾したと報じている。

評価 

 トランプ米大統領は日本時間4時52分付の投稿で、イランの攻撃による被害は一切ないとした上で、「イランが我々に事前の通知を与えてくれたことに、我々は感謝したい」と述べていたことから、イランは米国に対し何らかの方法で、「形だけの」攻撃をカタルのウダイド基地に行うことを事前に通知して、米国との「手打ち」を提案し、それに応ずる形で米国がイスラエルにイランへの攻撃停止を求めたことも想像される。なお、トランプ大統領は日本時間11時18分付の投稿で、イスラエルとイランがほぼ同時に自身のもとに来て、和平を乞うたとのストーリーを語っている。

 他方、イランのハーメネイー最高指導者のXの「公式アカウント」は、日本時間4時12分付の投稿で、「我々は誰も攻撃・侵略しなかったし、誰からの攻撃・侵略も一切容認しない。そして、誰からの攻撃・侵略にも屈したりはしない。これはイラン国民の論理である」との投稿を、星条旗と、米軍基地と思しき施設が燃え盛るとともに投稿しており、国内向けには米国への報復が然るべき規模で行われ、米国には屈しないことをアピールしている。

 日本時間11時半の時点での報道では、イラン側からのイスラエルへのミサイル攻撃が続けられており、また停戦に関するイスラエル側からの発表はないことから、果たして停戦が本当に実現するのかは依然として不透明である。

 なによりも、イスラエルによる対イラン攻撃の原因となったイランのウラン濃縮活動をめぐる対立がどこに着地するのかも不透明であり、この問題をめぐって戦争が再燃する可能性もある。もしイランが米国の要求を飲む形でウラン濃縮活動を停止させた場合、イスラエルによる対イラン攻撃の危険性は取り除かれるものの、体制が米国の要求に「屈服」したという印象は拭えず、ハーメネイー最高指導者を含む指導者たちが自国の「正当な権利」の完全無欠な実現を主張する強硬派の不満をどのように納得させることができるのか、不安要素は多い。

 停戦が実現したとしても、イランを巡る国内外の紛争・不安の火種はこれからもくすぶり続けるだろう。

【参考】

カタル:イランによるミサイル攻撃を経た反応と思惑」『中東かわら版』2025年度No.30、2025年6月24日。

(主任研究員 斎藤 正道)

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