№44 チュニジア:大統領選挙を10月6日に実施予定と発表
2024年7月2日、サイード大統領は次期大統領選挙を10月6日に実施する旨を発表した。これを受け、独立最高選挙機構(ISIE)は4日、選挙日程を発表した。ISIEによれば、立候補の受付期間は7月29日~8月6日、チュニジア国内での選挙キャンペーン期間は9月14日~10月4日となる。
10月6日実施の大統領選挙の暫定結果は10月9日、最終結果は11月9日に発表される予定である。なお、過半数の得票者がいなかった場合、最終結果発表から2週間以内に、上位2名の候補者による決選投票が行われる見通しである。
評価
チュニジアでの大統領選挙の実施は2019年から5年ぶりとなり、サイード大統領が2021年7月に権力を奪取して以降、初めてとなる。サイード大統領は現時点で出馬を表明していないものの、政治的権力を維持するために立候補すると考えられる。その他の候補者に関しては、チュニジア国内外で立候補に向けて推薦書を集めた人数が7月11日時点で42人に達するなど、一定数の立候補者がいると予想される。一方、出馬の意向を示した野党指導者のムーシー自由憲法党(PDL)党首や、元ナフダ党員のメッキ―労働実現党党首は、司法当局による犯罪捜査対象を理由に、最終的に候補者資格を得られるかは不透明だ。また、サイード大統領主導の政治行程を認めていない反大統領派連合「救国戦線」などは、立候補の擁立や投票をボイコットするだろう。
この先、サイード大統領に対する有力な対抗馬が出てくるかが注目される。現時点で、サイード大統領を大統領職から罷免できる手段はほとんど残っていないため、反大統領勢力が民主的な手続きを通じてサイード政権を退陣させる上で、次期大統領選挙は重要な意味を持つ。
こうした中、ベン・アリー政権期の公衆衛生相であったザナーイディーを推す声がある。ザナーイディーは2014年の大統領選挙で落選して以後、政治の表舞台に出ていないが、チュニジア・メーター社が2024年4月に実施した世論調査では、彼を支持する割合が約10%を記録した。サイード政権としては、過度な出馬妨害が国際社会からの非難につながることを避けるため、ザナーイディーのような、有力候補者の出馬を容認することで、選挙での競争性を演出していくと考えられる。
(主任研究員 高橋 雅英)
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