中東かわら版

№140 クウェイト:サバーフ新内閣の発足

 2021年3月2日、新内閣の閣僚が宣誓就任を行った。新内閣の顔ぶれは以下表の通り。

 

表 新内閣の顔ぶれ(★印は留任、◎は新設ポスト、印無しは新任。順番は現地報道に倣った)

ポスト

氏名

首相★

サバーフ・ハーリド・ハマド・サバーフ(王族)

副首相★

国防相★

ハマド・ジャービル・アリー・サバーフ(王族)

副首相

司法相

汚職撲滅強化担当国務相◎

アブドッラー・ユースフ・アブドゥルラフマーン・ルーミー(元弁護士)

ワクフ・イスラーム事項相★

イーサー・アフマド・ムハンマド・ハサン・カンダリー

石油相★

高等教育相

ムハンマド・アブドッラティーフ・ファーリス

保健相★

バーシル・フムード・ハマド・サバーフ

外相★

内閣担当国務相

アフマド・ナーシル・ムハンマド・サバーフ(王族)

公共事業相★

通信・IT担当国務相◎

ラナー・アブドッラー・ファーリス

国会担当国務相★

ムバーラク・サーリム・ムバーラク・ハリース

内相★

サーミル・アリー・サバーフ・サーリム・サバーフ(王族)

財相★

経済・投資担当国務相◎

ハリーファ・ムサーイド・ハンマーダ

情報・文化相◎

青年担当国務相★

アブドゥルラフマーン・バーダ・ムタイリー

教育相★

アリー・ファハド・ムダフ

地方自治担当国務相

住宅・都市開発担当国務相◎

シャーイウ・アブドゥルラフマーン・アフマド・シャーイウ

商工相

アブドッラー・イーサー・サルマーン

電気・水・再生可能エネルギー相◎

社会事項・コミュニティ開発相◎

マシュアーン・ムハンマド・マシュアーン・ウタイビー

 

評価

 前内閣は議会との対立を受けて、1月13日付でサバーフ首相による総辞職が提出され、18日にこれが承認されていた。ナウワーフ首長は同首相にその後も暫定首相の任を命じ、今般新内閣が発足した形だ。

 新内閣では複数のポストの新設(統廃合を含む)が見られるものの、前回の組閣から2カ月半ほどしか経っていないこともあって顔ぶれは前内閣とほぼ変わらず、国防相・内相・外相の主要ポストも引き続き王族が務める(いずれも前内閣からの留任)。

 新内閣の課題としては、COVID-19感染拡大も背景に含めた昨年からの原油価格下落への対応等が伝えられている。しかしそれ以上に、1月の総辞職の背景(議員の過半数がサバーフ首相の閣僚任命責任などを批判)を考えれば、昨年9月以来のナウワーフ首長の統治下で議会の不安定が続いていることが問題と言えよう。国内のCOVID-19感染拡大状況に関して言えば、新規感染者が2月半ば以降に著しく増加し、現在陸海での出入国が制限されている。野党議員によるサバーフ首相への責任追及が続く中、新内閣の目下の課題は安定した足場づくりだと考えられる。

 

【参考情報】

*下記レポートもご参照ください。

 <中東かわら版>

クウェイト:首長崩御、議会選挙を経ての新内閣誕生」2020年度No.115(2020年12月17日)

(研究員 高尾 賢一郎)

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