中東かわら版

№68 エジプト:電気料金の値上げ

 7月6日、政府は、6月末の燃料価格の引き上げに引き続き、電気料金の値上げを発表した。家庭用、商業用、サービス業用の電気料金が再設定された。以下は、新しい家庭用電気料金体系で、15%~42%の値上げとなった。電気使用量が多くなる所得の高い消費者ほど料金が高くなる。

月間電気使用量

新料金

  旧

 値上げ幅

0-50kw

13p

11p

 +18%

51-100kw

22p

19p

 +15%

0-200kw

27p

21.5p

 +25.5%

201-350kw

55p

42p

 +30%

351-650kw

75p

55p

 +37%

651-1000kw

125p

95p

 +31.5%

1000kw以上

135p

95p

 +42%

(注)1エジプトポンド=100ピアストル(p)=約6.37円(2017年7月10日現在) 月間使用量0~100kwの値段は低所得者向け

 ムハンマド・シャーキル電気・再生エネルギー相は、電気料金の引き上げの理由について、変動相場制の導入によりポンドの価値が大幅に下落したため、2016/17年度末までに電気補助金支出が820億ポンドに膨れ上がり、補助金予算を削る必要があったと説明した。その上で、電気料金の値上げはIMFとの融資合意とは無関係とした。また、補助金の段階的削減を決定した2014年時点では、2018/19年度までの5年間に補助金を撤廃する予定であったが、経済の現況に鑑み、補助金撤廃の期限を2021/22年度まで延長することも発表された。

 

評価

 シャーキル電気相は、電気料金の値上げはIMFとの融資合意とは無関係であると述べたが、IMFの融資条件にはポンド自由化や補助金削減が含まれていたため、無関係ではない。また、将来的にポンドの価値が上がれば電気料金は低くなるだろうとも述べたが、ポンドの価値が上がるためには観光業の復活、投資の回復が必要でそれには数年を要するであろうし、補助金予算の削減・撤廃方針は変わらないであろうから、電気料金が今後引き下げられるとは考えられない。

 あえてこのように説明したのは、エジプト政府が国外の組織の圧力によって国民生活を苦しくさせる経済改革を行っているとのイメージを国民に与えないためであったり、国民の生活不安を和らげるためであろう。これは、政府が経済改革の実行において国民の反応をかなり気にしている証である。政府は低所得者向けの所得補助プログラムや食料配給などで国民の不満を解消しようと懸命だが、投資の活性化、十分な雇用を生み出す競争的な経済活動が実現しなければ、政府が国民生活を物質的に支援する現在の構造は変わらないし、若者の失業問題も残り続けるだろう。

(金谷研究員)

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