中東かわら版

№128 イスラエル・シリア:ゴラン高原でイスラエル軍と「イスラーム国」が交戦

評価

 ゴラン高原では、シリア側からイスラエル側への越境攻撃が散発的に発生している。これはシリア政府軍と反政府勢力との戦闘がシリア南部で発生した際の流れ弾が、イスラエル側に飛んでくるからである。これまでの例では、イスラエル軍側は、シリア軍陣地などを報復攻撃してきた。しかし、今回の攻撃について、イスラエル軍は、境界地域で活動する偵察部隊を標的にした意図的な攻撃だとした。イスラエル側の専門家たちは、今回の攻撃は、現場の指揮官レベルの判断による攻撃の可能性が高いと考えているが、他方、シリアとイラクで苦戦する「イスラーム国」が、新たな宣伝活動の一環としてイスラエル攻撃を開始したと主張することで、中東・イスラーム諸国の民衆からの支援を得ようとしている可能性も否定できないと考えているようだ。

 イスラエルはシリア紛争に極力巻き込まれない政策を取っているが、シリアと国境を接している以上、まったく無関係ではいられない。流れ弾が国境を越える事件が頻発しているほか、イスラエルは、シリア南部の戦闘で負傷したシリア人市民や反政府組織の戦闘員の一部について、イスラエル北部の病院での治療のために入国させている。またシリア軍からヒズブッラーに高度の武器が渡ると判断した場合は、シリア国内への空爆を実施してきた。「イスラーム国」側の対イスラエル攻撃が大規模な攻撃になる可能性はないとしても、小規模攻撃発生の頻度が増加すれば、イスラエル軍がなし崩し的に「イスラーム国」との戦闘に巻き込まれる可能性は常にある。

(中島主席研究員)

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