中東かわら版

№113 エジプト:大統領府衝突事件でムルシー元大統領に禁固20年確定

 10月22日、破毀院(最高裁に相当)は、大統領府衝突事件に関する上告審で、カイロ刑事裁判所がムルシー元大統領に対して下した禁固20年判決を支持した。これによって、同事件における元大統領の刑(禁固20年)が確定した。大統領府衝突事件とは、2012年12月、カイロ郊外の大統領府周辺でムルシー支持派と反対派が衝突し、11人が死亡、400人以上が負傷した事件である。同事件における他の被告に関しても刑が確定し、ムスリム同胞団幹部のムハンマド・バルターギー、イサーム・イルヤーンら8名が禁固20年、他2名が禁固10年となった。ムルシー元大統領は本事件以外でも起訴されている。公判中の主な事件は下表の通り。

 判決を受けて、ムスリム同胞団は公式ホームページ上で、正当な手続きが踏まれずに行われた公判で出された判決は無効であると非難し、エジプト国民に向けて、「クーデタ・ギャング、軍事政権の血塗られた手で国土が腐敗するのを止めるべく、平和的な革命的抵抗を続けよ」と呼びかけた。

 

評価

 ムルシー元大統領が被告となっている事件で刑が確定したのは、今回の大統領府衝突事件が初めてである。ムスリム同胞団は判決を強く非難し、抵抗を呼びかける声明を出したが、幹部のほとんどが逮捕されたか、国外に逃亡してしまった現在、同胞団に反政府抗議行動を動員する能力はない。同胞団もその点は理解しているはずであり、非難声明は自組織が存続している事実を証明するために発出したに過ぎないだろう。

 ムルシー元大統領関連の公判で今後注目されることは、脱獄事件における死刑判決が破毀院で支持されるかどうかである。死刑が確定されれば、ムスリム同胞団支持者からの反発が予想されるだけでなく、エジプト司法府の非中立性や政治的な司法判断に国内外から批判が寄せられ、シーシー政権に対する批判がますます強くなるだろう。

(金谷研究員)

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