中東かわら版

№58 サウジアラビア:ジッダで自爆テロ事件が発生

 7月4日午前2時15分(現地時間)、ジッダのスライマーン・ファキーフ病院の駐車場で自爆テロ事件が発生した。内務省の発表によると、警備員が不審な動きをする人物を呼び止めようとしたところ、犯人は身に着けていた自爆ベルトを起動させ、自爆した。これにより自爆犯は死亡、警備員2人が負傷した。負傷した警備員の命に別状はない。

 同病院は米国の総領事館の隣に位置しており、7月4日は米国の独立記念日であることから、一部メディアでは米総領事館を狙った犯行と見られると報じている。他方、親サウジ政府の報道機関である『Al-Arabiya』は、当初は「米総領事館付近で自爆テロが発生」したと報じたものの、現在は「ジッダで自爆テロが発生」したという見出しに変更し、記事内でも米総領事館について触れていない。なお、総領事館員に負傷者はいなかった。

 現時点でサウジ政府側から犯行主体に関する言及はなく、信頼できる筋からの犯行声明の発出もない。

  

評価

 今回は大きな犠牲が出なかったものの、これまでサウジ国内ではペルシャ湾沿岸の東部州や内陸部のリヤードに比べると比較的安定していた紅海沿岸の都市で事件が発生したことは、懸念すべき問題であるかもしれない。他方、今回の事件については、犯行主体や動機がまだほとんど解明されておらず、過剰に反応することも避けるべきであろう。

 特に、一部報道では米国権益を標的にしたイスラーム過激派による攻撃ではないかという憶測も示されているが、現時点ではそれを判断する材料が乏しい。『Al-Arabiya』の報道ぶりの変更が、米国への攻撃と見なされることを避けるための政治的な措置なのか、単なる表現上の修正に過ぎないのかは判断が分かれるところであるが、いずれにせよ米国への攻撃を示すための確たる証拠というものは出てきていない。なお、ジッダの米総領事館は2004年にアル=カーイダによる襲撃に遭っており、その際には機関銃や爆発物などで武装したアル=カーイダ構成員らによって総領事館の警備員や現地職員ら9人が殺害されている。

 なお、今回の事件そのものの不可解な点として、事件の発生時刻が午前2時15分と深夜であり、仮に米総領事館を標的にしたものであるとするならば、あまりにも不自然な時刻と言えよう。犯行計画の全容や動機について、早期に解明されることが待たれる。

(村上研究員)

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