中東かわら版

№155 トルコ:イスタンブルで自爆攻撃の発生(2)

 1月12日(火)午前10時20分(現地時間)、イスタンブルの旧市街にあるスルタンアフメト地区で発生した自爆攻撃について、ドイツのフランク=ヴァルター・シュタインマイアー外務大臣は死者10名のうち9名、負傷者15名のうち9名がドイツ人観光客だったことを明らかにしたが、同日、Sawsan Chebli外務報道官は同外相の発言を訂正し、ドイツ人死亡者は10名に上ったことを発表した。

 翌13日、トルコのエフカン・アラ内務大臣は今般の事件にかかわったとして、自爆した男の他に容疑者一人を逮捕したと発表した。この会見上では拘束した容疑者についての詳細は語られなかったが、同記者会見から1時間後に行われた記者会見で、アフメト・ダウトオール首相は、新たに4人を容疑者として逮捕したことを公表した。自爆した犯人について、他の難民と同様に普通に難民としてシリアからトルコに入国しており、治安当局の監視対象者リストには入っていなかったため、動静は監視していなかったことを明らかにした。

 さらに首相は、残された遺体の頭蓋骨と爪の断片から、自爆した実行犯はナビール・ファドリー(Nabil Fadli)というサウジアラビア生まれでシリア国籍の28歳の男で、「イスラーム国」の構成員であったと断定したことも明らかにした。

 同日、ドイツのトーマス・デメジエール内務大臣は、アラ内務大臣やトルコの当局者との会談のためイスタンブルを訪問、事件現場となったスルタンアフメト地区の広場で献花を行った。

 会談終了後の記者会見で、「今回の自爆攻撃はドイツ人を故意に狙ったものではない」との見方を示した。

  

評価

 今般の自爆事件で犠牲となった10名全員と、負傷者15名のうちトルコ人1名を除いた14名が外国人観光客であった。

 トルコの文化観光省によれば、2014年にトルコを訪れた外国人観光客数は3,980万人で、2002年からみると200%超の伸び率となっている。トルコは世界遺産を多数擁する観光大国であり、欧州からの旅行客のみならず最近は中国等アジア圏の旅行者からも、人気の高い国の一つとなっている。しかしながら、相次ぐ自爆攻撃や爆発事件によって、外国人観光客数が減少することは間違いないだろう。

 さらに今回、観光客がもっとも多く訪れる場所で自爆事件が発生してしまったことによって、トルコの経済基盤の一つが大きく揺らいでいる。

 また、今年からトルコに対して経済制裁が発動されているロシア、そしてドイツからの観光客は、トルコを訪れる外国人観光客の中で最も多いことから2016年以降、トルコが受ける打撃は計り知れないものとなろう(直近の統計によると、2015年1月~11月の外国人観光客数は3,477万9841人だった。そのうちドイツからが540万3222人で第1位、ロシアは362万3518人で第2位、イギリスが247万5586人で第3位となった)。

 混迷を極める中東地域の中で「唯一安定している国」であったはずのトルコが、試練のときを迎えている。

(金子研究員)

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