中東かわら版

№147 エジプト・イスラエル:3年ぶりに駐イスラエル・エジプト大使が赴任

 1月3日、イスラエル外務省は、エジプトの駐イスラエル大使(ハージム・ハイラート氏)が在イスラエル・エジプト大使館に赴任したと発表した。エジプトの駐イスラエル大使の赴任は3年ぶり。2012年11月、ムルシー大統領率いるエジプト政府は、イスラエルのガザ攻撃に抗議し、駐イスラエル大使を本国に召還していた。

 

評価

 3年ぶりの大使赴任は、エジプト・イスラエル関係の改善を示す確かな証拠である。両国関係は、2014年6月にシーシー大統領が就任してから改善の方向へ向かっている。2011年の政変直後はエジプト市民の反イスラエル抗議によって在エジプト・イスラエル大使館は閉鎖に追い込まれ、ムルシー政権時代にはイスラエルのガザ攻撃への抗議としてエジプト政府が駐イスラエル大使を本国に呼び戻すなど、両国関係は緊張状態に置かれていた。しかし、シーシー政権時代に入ると、両国とも相手国への大使を新たに任命し、2015年9月にはカイロのイスラエル大使館が4年ぶりに再開され、そして今回、2016年1月にエジプトは駐イスラエル大使をテルアビブに派遣した。これはひとえに、エジプトの政権が反イスラエル的なムスリム同胞団から、イスラエルとの和平の維持を現実的な国益とみる軍主導の政権に変化したからである。

 エジプト・イスラエル関係の改善は、両国の共通関心事項であるテロ対策や中東和平問題の進展に貢献しうる。テロ対策については、両国はシナイ半島での軍事作戦において以前から水面下で協力を続けている。しかし中東和平については、二国間関係の改善がすぐに和平交渉の進展に結びつくとは考えにくい。エジプトは国内で「テロとの戦い」に苦心し、イスラエルは核合意関連でイランの動向が気がかりである状況で、どちらもイスラエル・パレスチナ和平交渉に注力する余裕はないように思われる。

(金谷研究員)

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