中東かわら版

№108 オマーン:第8期諮問議会議員選挙の実施

 10月25日、オマーンにおいて第8期諮問議会議員選挙が実施され、85人の議員(うち女性1人)が新たに選出された。今次選挙の概要は以下のとおり。

 

立 候 補 者: 596人(うち女性20人)

選挙人登録者数: 52万5785人

投 票 者 数: 29万7905人

 投 票 率 : 56.66%

  定 数  : 85議席(人口増により前回の84議席から1議席増加)

  任 期  : 4年

 

評価

 オマーンは、国王が議員を任命する国家議会と選挙によって議員が選出される諮問議会による二院制が採用されている。2003年の第6期諮問議会議員選挙からは、選挙権、被選挙権ともに全ての国民に開かれており、2011年には議会に立法権が付与されるなど、民主化の観点からも一定の進展が見られる。

 他方、今次選挙では、前回の選挙から投票者数が大幅に減少した。2011年10月の第7期諮問議会議員選挙では、投票者数が40万人弱、投票率は75%を超えた。前回は「アラブの春」の影響を受け、国民の政治的関心が高まっていたことを考慮しても、投票者数が40万人から30万人と25%も減少している点は看過できない。もっとも、2007年の第5期諮問議会議員選挙では投票者数が24万人であったことを考えると、長期的な傾向としては微増と言える。

 しかしながら、選挙人登録の有無を排除した潜在的な有権者数(21歳以上のオマーン人)を約90万人と仮定すると、実体的な投票率は33%程度であり、依然として国民の選挙への関心は高くない。オマーンでは、政党の結成が認められておらず、議会内における政治会派も存在しない。また、人口3万人以上の州は2議席、それ以下の州は1議席が各州に割り当てられているため、選挙区が細分化され、組織票を持つ有力部族が選挙に有利な構造となっている。今次選挙では学歴(高卒以上)が立候補の要件とされたため全体的に議員の若返りが促進されたが、部族政治が選挙結果を左右する現状は、若者を中心とした選挙への無関心層を形成する要因となっている。

(研究員 村上 拓哉)

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