中東かわら版

№40 サウジアラビア:株式市場の外国人投資家への開放

 サウジアラビアの株式市場(タダーウル)は、6月15日付で外国人投資家にも開放された。同市場はこれまでサウジおよび湾岸諸国の国民にしか開放されていなかった。サウジ市場の時価総額は約5600億ドルにのぼり、中東で最大規模である。

 株価指数算出会社のモルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル(MSCI)は、市場開放に先立つ9日、サウジアラビアを新興市場指数(EMI)に組み入れるかどうかについて、市場を開放してからの動向を当面見守る方針であることを明らかにした。EMIに組み入れられた場合、サウジのシェアは市場全体の2%となる見込みである。他方、EMIよりも下位のフロンティア市場指数(FMI)に組み入れられた場合、そのシェアは44%となる。

 

評価

 サウジアラビアの株式市場はその規模の大きさに加えて、売買が活発であり、好調な経済を背景に市場規模も年々拡大していることから、開放されることが投資家から待望されていた。経済の多角化を提言してきたIMFも、サウジアラビアの動きを支持している。

 株式市場の開放によって、サウジ市場には多額の資金流入があると見積もられている。市場全体では石油化学、銀行・金融サービスが大きなシェアを占めているが、通信・IT、セメント、小売りなどの分野にも資金が流入すれば、石油産業以外の産業を拡大する好機となり、若者の雇用創出などにも肯定的な影響を及ぼす可能性がある。

 他方、石油価格の影響を受けやすい市場は流動性も高い。また、市場ルールの明確化や透明化など、規制について不安視する声も存在する。

(研究員 村上 拓哉)

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