イベント情報

12.1 第5回「ペルシア湾岸地域を取り巻く国際情勢と海洋の安全保障」研究会

  • その他の行事
  • 公開日:2017/12/05

1.第5回研究会概要

日時:平成29年12月1日(金)

場所:中東調査会

時間:17時30分~20時30分

出席者:今井宏平(アジア経済研究所研究員)、栗田真広(防衛研究所研究員)、小泉悠(未来工学研究所研究員)、溝渕正季(名古屋商科大学准教授)、村野将(岡崎研究所研究員)、中東調査会:村上

 

2.研究報告

報告者: 溝渕正季・名古屋商科大学准教授

タイトル:揺れる米国の対中東政策と胎動する「ポスト米国」の中東地域秩序

概要:米国は、1987年のタンカー戦争、1991年の湾岸戦争を分水嶺にして、中東地域に対して直接的・軍事的な関与を行うようになった。1990年代から2000年代前半にかけては、米国の中東関与は深化し、「パックス・アメリカーナ」と呼びうる時代が到来した。一方で、中東にはサウジ、エジプトなどの親米諸国陣営と、シリア、イランなどの反米諸国陣営との間に、中東新冷戦と呼ぶべき対立構造が形成されていった。しかし、オバマ政権期に米国が中東からの撤退を開始したことで、中東には「ポスト米国」の地域秩序が胎動している。「アラブの春」により伝統的な地域大国が没落し、中東はサウジ・イランの双極構造になっている。米国の影響力は一層低下し、代わってロシア・イランの影響力が増している。

 

報告者: 小泉悠・未来工学研究所研究員

タイトル:イスラーム圏に対するロシアの介入(仮)

概要:中東地域のエネルギー資源やシーレーンに依存していないロシアにとって、中東の位置づけは西側諸国と異なる。ロシアにとって中東は伝統的には「勢力圏」外であったが、親露友好国であるシリアでの体制転換を防ぐため、また権威主義体制の保護のためシリア紛争には介入した。これは西側による陰謀を防ぐ、また、イスラーム過激派への脅威に対処するという側面もある。ロシア・トルコ・イランの三者間でシリア紛争を巡る合意が形成されつつあるが、イランのロシアへの不信感は根深く、両者の関係は必ずしも良好なだけではない。他方、トランプ政権がイランへの強硬姿勢を示していることは、イランをロシア側にすり寄らせる効果をもたらしている。また、ロシアとサウジとの間で武器取引が結ばれたことは、シリアを巡り何らかの妥協が成立した可能性があり、ロシア・トルコ・サウジという別の三者関係を浮かび上がらせている。

 

報告者: 村野将・岡崎研究所研究員

タイトル:中東における弾道ミサイル防衛と米国の取り組み

概要:中東地域は「実弾」が日常的に飛び交っており、被害極限のため戦域ミサイル防衛の実用化・実戦使用が早い時期から行われてきた。その需要に合わせ、イスラエルや湾岸諸国に弾道ミサイル防衛技術・装備を提供してきたのが米国である。第二次世界大戦におけるドイツによる対英都市爆撃、イラン・イラク戦争の研究から弾道ミサイル防衛に関する知見が得られたが、この教訓は湾岸戦争においてイスラエルによって活かされた。2015年以降イエメンのフーシー派がサウジアラビアに対して弾道ミサイル攻撃を継続していることで、湾岸地域でもPAC-2やPAC-3を用いた迎撃など具体的な対処が行われるようになっている。こうしたイランからの弾道ミサイル攻撃を脅威と認識する湾岸諸国は、米国からのミサイル防衛システムの調達を活発化させている。

 

※本研究会の成果は、2018年1月末発刊の『中東研究』 第531号および2018年2- 3月に開催予定の連続講演会で発表する予定です。

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