講演会の報告

02.08 第18回中東情勢分析発表会(金谷研究員・近藤研究員)

  • 講演会の報告
  • 公開日:2019/02/13

2019年2月8日(金)、日本記者クラブ「会見場」にて、近藤百世研究員と金谷美紗研究員による中東情勢分析発表会を開催しました。

 

報告者:近藤百世研究員

演題:「イラン核合意の展望-米国による制裁の波及とイラン」

米国がイラン核合意(JCPOA)を離脱し、対イラン制裁を再開するに至った経緯、及びこの展開が国際政治・イラン政治にもたらす影響を解説した。自国主導の新たな核合意を設立したいトランプ政権、イランをJCPOAに留め域内の安定を図りたい欧・露・中、そして国際社会との良好な関係と内政安定を維持したいロウハーニー政権、それぞれの思惑と施策に触れた。今後の展望として、イランが現状維持に努めようとしていること、また過激な言動に惑わされることなく、冷静に事態を分析することの重要性を指摘した。

 

 

報告者:金谷美紗研究員

演題:「第2期シーシー政権のエジプトの『安定性』-内政、治安、経済、外交の考察」

昨年6月に2期目を迎えたシーシー大統領下のエジプトについて、内政・治安、外交、経済を包括的に説明した。政権内外問わず反シーシー派を排除・鎮圧する施策と、徹底的なテロ対策により、国内の治安状況は改善している。その一方、軍部の政治的・経済的役割を増大し、改憲案には大統領任期延長を含めるなど、権威主義体制を引き続き強化している。また、シーシー大統領は内政安定・治安維持を最優先事項としているため、従来の域内大国としての外交的責務を果たす意思や余裕が見られないと分析した。低迷する経済と高騰する食料価格、それに対する国民の不満への対応は、シーシー政権にとって大きな課題でありつづけると指摘した。

 

(※講演内容は講師の個人的見解であり、講師の所属先の立場や見解、認識を代表するものではありません)

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