7.25 中東情勢講演会(岩坂将充・同志社大学准教授)
- 講演会の報告
- 公開日:2016/07/25
2016年7月25日、フォーリンプレスセンターにて、下記の通り中東情勢講演会を開催いたしました。
講 師:岩坂 将充(いわさか まさみち)同志社大学准教授
演 題:「トルコでの非常事態宣言と今後の展望」
7月15日にトルコで発生したクーデタ「未遂」を理解するに当たり、講師はまずトルコでは軍が「アタチュルク主義の擁護者」として過去に3度クーデタによって政治に介入し、特に82年憲法下から政治に対する強い発言権を保持してきた経緯を概観されました。
しかしAKPが政権について以降、EU加盟交渉を理由とした法制度改革や、市民意識における「新しい」アタチュルク主義の発生などにより、軍の権益が政府・市民それぞれとの関係において縮小してきたことについて説明がありました。また、20日に発表されたトルコ全土を対象とした「非常事態宣言」(OHAL)について、大統領への権限集中の可能性と、様々な権利の制限を合法とする法律上の規定を解説された後、各野党勢力のスタンスと今後の見通しに関する複数の見解を紹介されました。
質疑応答では、OHALの延長手続きや海外現地邦人企業への影響、クーデタの黒幕と目されるギュレン運動、またゲズィ公園の抗議運動と今回のAKP政権支持者による抗議運動の参加者層の違いなどについて、質問と解説がありました。
(※講演内容は講師の個人的見解であり、講師の所属先の立場や見解、認識を代表するものではありません)
講師略歴
岩坂将充(いわさか まさみち)
同志社大学准教授
職歴
2007.4-2011.3 上智大学アジア文化研究所 共同研究所員
2009.4-2010.3 上智大学ヨーロッパ研究所 客員所員
2010.4-2011.3 上智大学ヨーロッパ研究所 研究補助員
2011.4-2014.3 日本学術振興会 特別研究員PD(東京外国語大学)
2011.4-2014.3 上智大学外国語学部 非常勤講師
2011.4-2014.3 文教大学国際学部 非常勤講師
2013.4-2013.9 東海大学教養学部国際学科 非常勤講師
2014.4- 同志社大学高等研究教育機構 准教授
2015.10- 立命館大学国際関係学部 非常勤講師
2016.4- 京都女子大学法学部 非常勤講師
その他、アジア経済研究所外部委員等
学歴
2011 博士号取得(地域研究)上智大学
関連出版物
「トルコ政治の現状と『民主化』の行方―2013年反政府抗議運動の分析から」 『中東研究』第518号 2013年
「トルコにおける政軍関係の変容―軍の権益の段階的縮小と今後の展望」 『中東研究』第524号 2015年