№134 イラク:イラクのイスラーム抵抗運動が対イラン戦争関係国を脅迫
- NEW2026イラク湾岸・アラビア半島地域
- 公開日:2026/03/05
イスラエルとアメリカによるイラン攻撃開始以来、イラクの民兵諸派の中にもイスラエル・アメリカ陣営を攻撃したと主張する声明や動画を発表する団体が相次ぐようになった。諸派はアルビルやバグダードのアメリカ軍施設を攻撃したと発表する場合が多いが、3月4日には「血の守護者隊」名義で「ヨルダンの重要施設」を無人機で攻撃したと主張する声明も出現している。また、アメリカかイスラエルによると思われる爆撃により、「親イラン民兵」と呼ばれる民兵諸派の死傷者も相次いでいる。戦闘が現在のペースで続くならば、イラクについても紛争の強度が上がり、範囲が拡大する可能性が高い。
そうした中、5日付で「イラクのイスラーム抵抗運動」名義で紛争に関与する諸国に対する要旨以下の通りの警告・脅迫声明が出回った。
*ここ数日、悪の傲慢勢力は自由人と諸国の尊厳を鎮圧するために殺到している。これは、自由な諸人民の意志に覇権を押し付け、堕落させるための有害な試みだ。これが実現することはまさに問題外であり、決意の持ち主は世界的傲慢勢力のあらゆる試みを拒否している。
*敵対者シオニストとアメリカは、依然として同盟者たちをイスラーム共和国(注:イランのこと)と地域の自由人に対して動員し、一部ヨーロッパ諸国をこの戦争に参加させようとしている。これらの諸国の中で、今般の戦いに参加するものは全て、我らが人民と聖地の敵とみなされる。そして、イラクと地域のおけるこれら諸国の軍、権益は、侵略に関与した懲罰として正当な攻撃対象になる。
評価
「イラクのイスラーム抵抗運動」は、与党として国会議員や閣僚を輩出する党派、イラクの治安部隊の一角をなす「人民動員隊」に参加する諸派も含むイラクのシーア派の諸党派が擁する民兵の連合体で、アメリカやイスラエルに対する攻撃を実行した場合、実行主体をあいまいにするために用いられる名義である。この名義では、2023年秋から2024年11月にかけてイスラエルやイラク・シリアのアメリカ軍の基地を攻撃したと発表する声明が多数発表されたが、今般の戦闘により活動が活性化した形となった。「イラクのイスラーム抵抗運動」の名義で発信される戦果発表には、ロケット弾や無人機の発射場面の動画が添付されることがある上、アメリカやイスラエル発表やその他公開情報と照合すると、「なにがしかの攻撃を実行している」ことは事実だと判断すべきものが多い。これまで、同派の攻撃により大きな人的被害が出た例は少数だが、今後同派から攻撃対象とみなされる国・企業・施設が増加すれば、本邦を含む各国がイラクで活動する際の危険度や費用が上昇することは不可避だろう。
(特任研究員 髙岡 豊)
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