№89 アフガニスタン:カブールでの自爆攻撃
2018年11月28日、カブールで軍事施設が襲撃され、多数が死傷した。時事通信によると、襲撃されたのはイギリスの警備会社G4Sの施設で、少なくとも10人が死亡、19人が負傷した。この事件について、ターリバーンの報道官ザビーフッラー・ムジャーヒドが、要旨以下の通り速報を発表した。
- 本日(28日)夕方、イスラーム首長国の殉教志願者たちの一隊が、カブールの第9治安管区で占領軍の重要軍事拠点である「ジョルジャー」を襲撃した。同拠点には占領者の将兵数百人と傀儡軍の高級将校らがおり、ここで敵のコマンド作戦が計画されていた。この拠点にいる占領軍が、最近のヘルマンド、カンダハル、カブールでの民間人に対する諸作戦の責任者である。
- 襲撃は、爆発物を積んだトラックの爆破による治安障害物と施設の外壁の破壊により始まり、次いで殉教志願者のムジャーヒドゥーン複数が施設内の占領者と傀儡どもに発砲した。
- 現時点までで、トラック爆弾で殉教作戦を行ったムジャーヒド1人が殉教したが、残りの者は占領者と傀儡どもの粛清を続けている。
- この殉教作戦は、占領者とその傀儡どもが行った家宅捜索、特にヘルマンドとカンダハルで多数の無辜のアフガン人が殉教した作戦への反撃である。殉教者のほとんどは、女性と子供だった。ムジャーヒドゥーンは、野蛮な敵どもに同様の作戦を多数行うつもりである。
評価
29日、ターリバーンは作戦の詳報を発表し、これより先は占領者と国内の敵が安全でいられることはないと脅迫した。同派がカブールでアフガン政府の省庁、警備会社をはじめとする外国企業の拠点や外国人の居住地、外交団を襲撃することは常態化している。また、今期の軍事攻勢「ハンダク攻勢」の開始声明(「イスラーム過激派モニター」2018年2号を参照。)をはじめとする、ターリバーンが発信する声明類を参照すれば、このような作戦は十分予想できたものであり、それでも作戦を阻止することができないというところがアフガン情勢の深刻さを象徴している。
ターリバーン自身は自派の力量を誇示し、アフガンに介入する諸外国・機関の戦意や意欲をそぐことにより自らの軍事・政治目標を達成することが可能と認識している模様である。このため、今後も報道官が予告した通りカブールの政府機関や外国権益に対する襲撃が発生する可能性と、邦人権益が巻き込まれたり襲撃対象となったりする可能性を想定すべきだろう。
(イスラーム過激派モニター班)
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