中東かわら版

№73 イラク:クルド地区議会選挙の結果

 2018年10月21日、クルド地区の選挙管理委員会は、同地区議会の選挙(2018年9月30日投票日、投票率約92%)の結果を発表した。同議会の定数は、111議席で、このうち11議席は少数派への割り当て議席。主な党派の獲得議席数は以下の通り。

 

KDP(クルディスタン民主党):45

PUK(クルディスタン愛国連合):21(前回選挙から3議席増)

変革運動(ゴーラーン):12(前回選挙からほぼ半減)

新世代運動:8

イスラーム団:7

「改革へ」リスト:5

その他:2

 

少数派への割り当て議席は、キリスト教カルディア派、アッシリア正教、トルクメン人などの政党が議席を獲得した。

 

評価

クルド地区の政治体制は過去数年混乱し、大統領、政府、議会のいずれもが憲政上の正統性を欠く状態で存続していた。このような混乱の原因は、各党派の対立や、「幽霊公務員・幽霊兵士」問題に代表される、クルド地区の政治・社会の運営のまずさにある。2017年9月におこなわれたクルド地区の独立の可否を問う住民投票とその後の混乱は、こうしたクルド地区自身の政治運営の混乱の延長線上にある。

今般、一応議会が選出されたことにより、クルド地区の各機関の憲政上の正統性の回復が順調に進むのかが今後の焦点となる。また、連邦政府においても組閣についての各勢力の交渉が進められているが、クルド地区議会選挙の結果は、クルド人の諸党派が連邦の政府・議会でどのように振舞うかに影響しよう。過去数年の状況や今般の選挙結果に鑑みれば、イラクの連邦レベルの政治情勢においても、「クルド人」を共通の利害関係を持つ政治的に一枚岩の当事者とみなすことは、今や困難である。

(主席研究員 髙岡 豊)

◎本「かわら版」の許可なき複製、転送はご遠慮ください。引用の際は出典を明示して下さい。
◎各種情報、お問い合わせは中東調査会 HP をご覧下さい。URL:https://www.meij.or.jp/

| |


PAGE
TOP