中東かわら版

№77 トルコ・ロシア:エルドアン大統領のロシア訪問

 8月9日(火)、エルドアン大統領はロシアのサンクトペテルブルクを訪問し、プーチン大統領と会談した。両首脳が顔を合わせるのは2015年11月24日のトルコ軍によるロシア軍機撃墜事件以来初めてのことであり、両国の関係改善へ向け大きな一歩となった。

 この首脳会談実現の裏には伏線があった。2016年6月27 日、エルドアン大統領がプーチン大統領宛に謝罪の書簡を送り、この書簡の中でトルコ側が「深い遺憾の意」を表明したこと、ついで6月29日、エルドアン大統領とプーチン大統領の電話会談が実現、断絶状態にあった両国関係の修復を図り正常化することで合意していた。

 また、エルドアン大統領は、プーチン大統領との会談直前にロシアのタス通信、国営テレビ局ロシア24の共同インタビューに答え、「不幸な航空機撃墜事件から8カ月が過ぎたが、この間、二国間では多くの関係が継続していた。今回の訪問でトルコ・ロシア関係では、政治、軍事、経済、貿易、文化など全ての分野で新たなページが開かれ、両国は地域の重要な立役者として実行することが数多くあると信じている。この信念を持って(自分は)ロシア訪問を実現する。プーチン大統領とロシア国民に、私自身とトルコ国民を代表して心より挨拶を送る」、と述べた。

 

評価 

 今回のエルドアン大統領のロシア訪問は、8カ月にわたり冷え切っていたトルコとロシアの関係を一気に近づけるものとなった。会談では、シリア問題や貿易、ロシアからのガスパイプラインプロジェクトをはじめとするエネルギー問題、トルコへのロシアのチャーター便再開などが議題となった。

 また、7月15日未明に発生したトルコでの軍事クーデター未遂事件により、現在でもトルコ国内で非常事態が敷かれるという、国内が不安定な時期にロシア訪問を強行した背景には、クーデターの首謀者とされるフェトフッラー・ギュレン師の引渡しに慎重な姿勢を崩さない米国や、死刑制度復活を検討するトルコを牽制する動きをみせるEUに対して圧力をかける目的もあると考えられる。

 強権的な2人の指導者が再度急接近することにより、米国やEUの対トルコ政策にどのような影響があるか注目される。

(金谷研究員)

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