中東かわら版

№33 チュニジア:ナフダ党が宗教活動と政治活動の分離を決定

 5月20~22日、ナフダ党は第10回党大会を開催し、同党の新方針として宗教活動(ダアワ)と政治活動を分離することを決定した。また、8名が立候補した党首選では、現党首のラーシド・ガンヌーシーが全1058票中800票を得て再選された。任期は2020年まで。2位はファトヒー・アイヤーディー(229票)、3位はムハンマド・アクルート(29票)だった。

 

評価

 イスラーム主義を掲げて30年間政治活動を行ってきたナフダが宗教活動と政治活動の分離を決定したことは、同組織にとって大きな変化である。

 ナフダが宗教活動と政治活動の分離を決定したのは、政党の生き残り、発展、他党との競争に勝つことを考えての選択であろう。イスラーム主義者と非イスラーム主義者の政争や、数度のテロ事件によって「革命」後の経済立て直しが遅れているチュニジアにおいて、世論はイスラーム主義を好意的に見ていない。むしろイスラーム主義が台頭したことでチュニジアの政治や経済が混乱したと見ているために、2015年の議会選挙でナフダは敗北したのである。このような政治環境において今後もイスラーム主義を掲げて政治活動を継続すれば、ナフダは他党との競争に勝利できなくなると考えたと思われる。ガンヌーシー自身、2011年の革命と2014年の憲法成立を経て、現在のチュニジアに政治的イスラームが正当化される空間はない、と『ル・モンド』紙で述べている

 ただし、党大会では、宗教活動と政治活動の分離を具体的にどのように行うのかについて明確に言及されなかった。今回の方針変更によってナフダがどのように活動を変化させていくのか、政界においてイスラーム主義と非イスラーム主義の対立が消失し、経済回復という最重要政策の推進にプラスに働くのか、今後注目される。 

(金谷研究員)

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