中東かわら版

№100 イラン:議会が核合意を承認

 10月13日、イランの議会は、7月のP5+1との核合意「包括的共同行動計画(JCPOA)」について、賛成161、反対59、棄権13で承認することを決定した。政府は当初、議会には核合意について承認する権限はないと主張してきたものの、9月3日にハーメネイー最高指導者が議会にも合意に対して投票をするよう指示したため、イランでも合意について議会で審議が行われることになっていた。

  

評価

 7月の合意成立以降、議会は核合意について審議することを求めてきたが、政府は同案件については国家安全保障最高評議会(SNSC)の所管であり、制度上議会に合意について審議する権限はないとしてきた。9月3日のハーメネイー最高指導者の指示は特例的な措置であったが、これにより議会は体面を保つことができた。また、合意自体は賛成多数で承認されたものの、強硬派としても意思表明をする場が得られたことで、これを妥協点とする者もいるだろう。

 もっとも、最高指導者が合意に対して肯定的な評価を下しているなか、議会が合意を否決する可能性は皆無に等しかったと言える。米議会は既に合意の否決に失敗しており、JCPOAの履行を阻害しうる要因の多くは排除されている。

 JCPOAの進捗状況としては、今後、10月19日に「採択日(Adoption Day)」を迎えることになると見られており、双方はJCPOAの履行開始となる「履行日(Implementation Day)」に向けた具体的な準備を始めることになる。米国・EUはイランに対する核関連の制裁を凍結・解除するための準備を進め、IAEAはイランが主要な措置を履行しているかどうかを確認する。12月15日に過去の核兵器開発疑惑に関する最終報告書をIAEAが提出することになっていることから、「履行日」については同日以降、早ければ年明けになる見込みである。

(研究員 村上 拓哉)

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