10.03 第17回中東情勢分析発表会(金子研究員・髙岡主席研究員)
- 講演会の報告
- 公開日:2018/10/11
2018年10月3日(水)、日本記者クラブ「会見場」にて、金子真夕研究員と髙岡豊主席研究員による中東情勢分析発表会を開催しました。
報告者:金子真夕研究員 、髙岡豊主席研究員
演 題:「トルコリラ続落の背景と今後の展望」、「シリア紛争の現状と見通し」
「トルコリラ続落の背景と今後の展望」
トルコリラが下落し続ける背景として、トルコにおける大統領選挙と議会選挙の実施とエルドアン大統領の権限強化について触れた。そのうえで、下落が始まる契機としてトルコ・米国間の関係悪化を挙げつつ、両国の関係悪化の背景にエルドアン大統領による独裁以外にも要因があると指摘した。関係を悪化させた要因として、トルコのクーデタ未遂への関与が疑われるブランソン牧師の身柄引き渡しをめぐる両国の対立、トルコによる中国への接近、「イスラーム国」とクルド人への対策、米国大使館のエルサレム移転などを挙げた。今後の展望として、欧州諸国との関係、ロシアとの関係について述べた。
「シリア紛争の現状と見通し」
これまでシリア紛争に関与してきた「アメリカ、フランス、イギリス、トルコ、サウジ、カタル」・「シリア、イラン、ロシア」間の力関係の推移の特徴について説明した。また、2016年から2018年までのシリア国内での各勢力による領土的な制圧や占拠の推移について述べた。さらに、今後の焦点として幹線道路と外国とのつながりをどう確保するか、難民の帰還、シリア国内での復興事業の実施、シリア政府による領土の統制の程度やタイミングなどを挙げた。
会場からは、トルコリラ下落が日本に与える影響などについて質問が出た。
(※講演内容は講師の個人的見解であり、講師の所属先の立場や見解、認識を代表するものではありません)