中東かわら版

№84 UAE:イエメン紛争でUAE軍兵士45人が死亡

 9月4日、イエメン北部のマアリブ州において、軍事基地内の武器庫が爆発し、同地で任務中だったUAE軍の兵士45人が死亡した。3月のイエメン紛争開始以来、連合軍側で最大の死傷者の発生となった。爆発の原因に関し、UAE政府は事故によるものと発表したが、イエメンの武装勢力側は自らのミサイル攻撃によるものと主張している。

 UAEにとっては、建国以来、最大の被害者の発生となった。政府は5日から3日間、喪に服すことを決定したほか、各首長国の首長らは弔意を表明した。また、アブダビのムハンマド・ザーイド皇太子(軍副最高司令官)は、遺族の弔問に訪れた。

評価

 UAEでは、2014年から兵役制度が施行されている。詳細は不明であるものの、海外での作戦に兵役期間中の兵士が派遣される可能性はほとんどなく、死亡したのは職業軍人と推定される。しかし、これまで戦争の経験もなく、国内の治安も安定していたUAE国民に、今回の被害は大きな衝撃を与えるだろう。同日には、サウジ・イエメン国境を防衛していたバハレーン軍からも兵士5人が死亡しており、連合軍側は、空爆作戦においてはほとんど被害を受けていないものの、国境地帯や地上戦の被害が相次いでいる。イエメンでの紛争に介入する理由に乏しいUAEやバハレーンといった湾岸の「小国」では、今後、厭戦気分が国内に広まる可能性があり、各国政府は新たな対応を迫られることになるかもしれない「サウジ・UAE:イエメン紛争での死者数の増加」『中東トピックス』No.T15-05(2015年9月1日)参照)

(研究員 村上 拓哉)

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