中東かわら版

№118 イラン:文化・イスラーム指導相など3閣僚の交代

 11月1日、議会は空席になっていた文化・イスラーム指導相、教育相、スポーツ・青年相について、大統領が指名した候補者の信任投票を行った。いずれの候補者も賛成多数で承認された。新たに任命された大臣は以下のとおり。

  • 文化・イスラーム指導相:セイイェドレザー・サーレヒーアミーリー国立図書館館長(賛成180、反対89、棄権6)
  • 教育相:ファフルッディーンアフマディー・ダーニシュアーシュティヤーニー元副科学技術研究相(賛成157、反対111、棄権6)
  • スポーツ・青年相:マスウード・ソルターニーファル副大統領兼文化遺産・観光・手工芸庁長官(賛成193、反対72、棄権9)

 これらのポストについては、10月19日にジャンナティー文化・イスラーム指導相、ファニー教育相、ゴウダルジー・スポーツ・青年相がそれぞれ辞意を表明して以来、大臣代行による業務の代行が続いていた。ロウハーニー大統領は10月23日に上記の候補者を指名し、議会に信任投票の実施を要請していた。

評価

10月19日に辞任した3閣僚については、その資質や政策がそれぞれ問題視され、各政治勢力から批判の的になっていた。来年5月に大統領選挙を控えるロウハーニーとしては、これらの閣僚を切ることで、政権の安定運営と各種政策の遂行を進める心積もりだろう。新たに閣僚に任命された3人は、2013年にロウハーニーが政権に就いたときに閣僚として指名されたものの、議会の信任投票において反対多数で就任を阻まれた者たちであり、ロウハーニーにとっては本命の人事と言える。今回の交代で彼らを閣僚に任命できたのは、2016年2月の選挙により、議会ではロウハーニーに近い勢力が議席を増やしていたためと考えられる(詳細は「イラン:第10期国会議員選挙・第5期専門家会議議員選挙の実施」『中東かわら版』No.175(2016年3月1日))。新体制の下、残り半年の任期のなかで国民の支持をどれだけ繋ぎ止められるかが、ロウハーニー再選の帰趨を決める焦点となろう。

(研究員 村上 拓哉)

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