中東かわら版

№19 カタル:第 5 期中央地方評議会議員選挙の実施

5 月 13 日、カタルで第 5 期中央地方評議会議員選挙が実施された。選挙の結果、女性議員 2 名が当選した。選挙の概要は以下のとおり。

定数:29 議席

選挙制度:小選挙区制(29 の選挙区から 1 人ずつ選出)

任期:4 年 立候補者数:114 人(うち女性 5 人)

有権者登録者数:21,735 人

投票者数:16,670 人(投票率 69.8%)

評価

中央地方評議会議員選挙は、カタルで行われる唯一の選挙である。国政議会である諮問評議 会では、将来的には選挙によって議員を選出することが憲法で定められているものの、今日に 至るまで選挙は行われておらず、議員は全て首長による任命である。1999 年以降、中央地方評 議会議員が選挙で選ばれるようになったことは、カタルの民主化を促進するものとして歓迎さ れた。 他方、中央地方評議会は、地方行政を担う事実上の地方議会と位置づけられているものの、 地方自治・都市計画省の諮問的な機関としての権限しか有しておらず、その立場は極めて弱い。 また、カタルでは政党の結成は認められておらず、政党に準じる政治団体の活動も確認されて いない。そのため、政策に関する議論は盛り上がらず、有権者は主に血縁や部族によって候補 者を選んでいると見られている。 今次選挙では、女性議員が 2 名当選したことが注目を集めている。政府は男女平等の観点か ら女性議員を増やすことを奨励してきたが、2003 年の第 3 期選挙で 1 名が当選したことを除 き、女性議員は誕生してこなかった。そのため、女性議員枠を設けた方が良いのではないかと いう議論もあった程である。今回、女性議員が 1 人増えたことは、カタル社会の意識の変化の 現れであるかもしれない。

(研究員 村上 拓哉)

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